子供の「不登校」「登校拒否」「引きこもり」--本当の理由は家庭の「優しい虐待」かも?

更新日 2024年08月25日 | カテゴリ: 子育て・家族関係

「それまでいい子だった子供が、急に学校に行きたがらなくなった」「塾にも行かず、部屋に閉じこもるように…」等、小学生・中学生の登校拒否や引きこもりについて悩むご家庭の数は年々増加しています。

「学校に行きたがらない」という理由から、その原因は「いじめ」や「先生・友人との関係性」であると考えられがちです。 ところが、最近では不登校や引きこもりの本来の原因が「家庭」にあるケースも多いことがわかってきました。 両親・家族による「優しい虐待」が無自覚のうちに行われていたことによって、子供が強いストレスから適応障害等を発症しているケースも多いのです。

ここでは「優しい虐待」についての誤解や、「優しい虐待」を起こしやすい家庭の特徴等についてご紹介していきます。

1. 「優しい虐待」(キレイな虐待)とは?

近年ネット上でも「優しい虐待」という言葉は使われるようになりましたが、「優しい」という言葉から「子供を甘やかす虐待」であると受け止められるケースが散見しています。 例えばゲームやマンガ、菓子類等を子供の好き放題に買い与え、自律できない子供を作ることと思われて居る方も多いのではないでしょうか。

上記のような「過度の甘やかし」は、どちらかというと依存症における「イネイブラー(世話焼き人)」のような存在です。 もちろんこちらも子供の教育上では良くはありませんが、元々『優しい虐待』として問題とされてきたのは別のパターンです。

『優しい虐待』をする親は教育に熱心で、しかも一見すると「厳格」には見えません。 子供の将来を真剣に考え、進学や塾選び、お稽古事の選択等にも頭を絞らせています。 また家庭内でのしつけ等もよく研究しており、不登校等の症状が見られるまでには「理想的な親子関係・家庭環境」と見えることが多いのです。

しかし、成長するにつれて子供は「理想的な子供でいる」というストレスに晒され続けることに。 この過度なストレスが勉強や学校・趣味等への意欲を失わせ、「不登校・引きこもり」といった症状として現れてきます。

2. 優しい虐待による「不登校・引きこもり」症状の特徴

「優しい虐待」が懸念される家庭・子どもには以下のような傾向が見られています。

<<家庭の特徴>>

・両親の学歴が高い ・子供の教育に熱心である(塾・幼児教育・受験対策を早くから始めている) ・稽古事等は親が指定している ・両親が子供の頃(10代、20代)優等生的存在だった ・両親は自分の親(子供にとっては祖父・祖母)からの教育・子育てを肯定的に受け止めている ・母親が専業主婦である ・子供に対する物理的暴力・暴言等は見られない

<<子供の特徴>>

・一人っ子または長子である ・症状が見られるまでは成績が良い ・症状が見られるまでは学業・稽古事等に熱心に取り組む ・学校内・塾・稽古事先などでは優等生的存在である(あった) ・教師や親世代からの評価が高い ・ワガママを言わない、症状発生まで問題行動が見られない ・本人が希望する嗜好や趣味が家庭で行われていない(学校・塾での嗜好と家庭での嗜好に剥離が見られる) ・学校以外の塾等にも行きたがらなくなる

これらの特徴は、ごく簡単にまとめれば「いい子とその親」と言えるかもしれません。 幼稚園や小学校低学年頃まで「いい子・優等生」なのです。 しかしこの時、親の愛情表現は「自分の期待に沿う子供である時」にしか示されません。 そのため協調性・感情察知の能力が高い子供ほど「いい子でいないと愛されない」ということ(親の愛情が条件付きである)に早い時点で気づき、無意識のうちに「いい子であろう」という努力を始めます。

ところが小学校中学年頃から中学生にかけての自我の芽生え・精神的成長とともに「自分の思うままにありたい(自我)」と「いい子でなくては親に愛されない(抑圧)」が生まれ、このストレスが高まると抑うつ的な症状が発症するのです。

3. 原因特定・親の自覚には時間がかかることも

「優しい虐待」による不登校等では子供本人もその理由を特定できない(虐待であると意識できない)ため、不登校や引きこもりの理由を尋ねられても「わからない」「ただ行きたくない」ということになりがちです。

また「困った子供だと思われたくない」という心から、実際には無かったいじめや仲間はずれ、教師とのトラブル等を口にするケースも見られています。 親が学校との問題を信じて原因を究明しても問題が見られない上、親側にも「虐待」の自覚が無いことから、原因の特定ができないままに数年以上もが経過してしまうケースが珍しくありません。

おわりに

「優しい虐待」が原因となる不登校や引きこもりの場合、大切になるのは子供のカウンセリングだけでなく「両親のカウンセリング」です。 両親は自分達の親からも「優しい虐待」もしくはそれに準ずる過度な期待と高水準の教育を受けてきていることが殆どで、その教育をロールモデルとして自分の子供に行っています。 また親自身はその期待に耐えうる精神力を持てていたため、「自分達の教育水準・期待に耐えられない子供も居る」「自分たちもかつてストレスを受けていた」ということが認識できないのです。

カウンセリングの認知療法によって、親子両方が家庭内での関係性を改善することが問題の解決への近道となります。

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