更新日 2023年05月18日 | カテゴリ: 習慣を変えたい
不用意な出来事や、予定外の出来事が起こると焦ったり混乱したり、不安になったりする。スケジュールを細かく決めないと行動できない。でも、そんなスケジュールに縛られた毎日に息苦しさを感じている。
そんな人は、最近の気まぐれや衝動に任せてとった行動を思い出してみてください。天気がいいから散歩に行ってみた、気が向いたから髪を切ってみた、新しいタオルを衝動買いしてみた。何か思いつくものはありましたか?
「衝動的な行動」というと、感情的で、時間が経つと後悔しそうなイメージがあるかも知れません。しかし、感情や気分に任せた無計画な行動は、意外にも私たちの脳に満足を与え、モチベーションややる気を向上させる力を持っているのです。
私たちの脳は、新しい刺激が大好きです。今まで聞いたことのない音楽、見たことのない景色や映像、体感したことのない空気感などの新しい刺激が脳に加わると、ドーパミンという神経伝達物質が大量に分泌されます。
このドーパミンは私たちのモチベーションを司っているもので、ドーパミンが分泌されることによって、私たちは興奮したり、好奇心を覚えたり、冒険的なことにも挑戦できるようになります。
「衝動的な行動」によって、新しい景色を見に行ったり新しいものに触れることで、たくさんのドーパミンが脳を包み込み、私たちのモチベーションややる気は飛躍的に上昇するのです。しかも、様々な「新しい刺激」が非常に短い時間だったとしても、ドーパミンは大量に分泌されます。つまり、いつもの帰り道を少し変えて、たった1分遠回りしたり早回りするだけで、脳はドーパミンの大波を起こすのです。
さて、ここで疑問に感じた方がいるかも知れません。
「新しい刺激が必要なら、前もって計画した旅行や映画鑑賞でも十分なのでは?スケジュールを立てて行動しても新しい刺激を得ることはできるのだから、衝動的な行動をとる必要はない」
この疑問に対する答えは、ノーです。
脳が大好きなものの二つ目は、自分をコントロールしている感覚=「自治」です。仕事だから、誰かに言われたから、失敗したくないから、という理由でとる行動では、脳は「自治」を満たすことができません。
反対に、面白いから、好きだから、興味があるからといった、自分だけの意思や感覚で決定してとった行動は、脳の「自治」を一気に満たし、脳は大きな喜びを感じます。また、無計画に、思いついたままに行動すると、脳は「自分は自分の感覚に正直で、自分をコントロールすることができている」と感じます。一見気まぐれで感情的に感じられる行動こそ、脳の「自治」を満たす一番の近道なのです。
「自治」が満たされると、私たちの「自分は頑張っている」という満足感や自信、職場でのパフォーマンスや仕事をする楽しさ、さらには人生全体への満足感などが向上することが明らかになっています。
計画やプランを立ててとった行動では、脳の「自治」を満たすことはできません。脳にとっての「自治」とは、プランをこなし自分を律することではなく、湧き上がる感情や興味のままに行動できること、総じて言えば「自分に正直であること」なのです。
びっしりと書き込まれたスケジュールを見るたびに憂うつになる、スケジューリングされた日々に息苦しさを感じているという人でも、ほんの少し「衝動的な行動」をとるだけで、やる気が湧いてきて満たされた感覚を味わうことができます。
手始めに、びっしりと書き込まれた予定の合間を縫って、1週間のうちに30分だけでも空欄を作ってみてください。その時に何をするかは、あなたの自由です。その時の気分や思いついたままを行動にしてみてください。
「たった30分じゃ何もできない」?そんなことはありません。30分だけカラオケに行くことだって、立派な「衝動的な行動」です。30分だけネットショッピングをして、その時「欲しい!」と思ったものを購入してみてください。数日後に、結局使わないかも…なんて後悔する必要はないのです。「衝動的な行動」をとったことにより、あなたのやる気とモチベーションは向上して、知らないうちに前向きになっているのですから。
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