人事も意外と知らない?「産業医」の役割と重要性

更新日 2024年09月03日 | カテゴリ: 職場のメンタルヘルス

2015年12月から施行された改正労働安全衛生法により企業のストレスチェック制度が義務化されたことから、急速に注目度を集めている「産業医」の存在。

しかし「産業医」については「企業内の医師」といった程度の一般認知度であり、いまだその役割や重要性は知られていないのが現状です。 ここでは産業医の仕事、特にメンタルヘルス関係での役割等について解説をしていきます。

1. 産業医を持つ義務がある企業とは?

産業医とは、企業内で働く人達の健康管理を担当し、指導面談や就労可否の判断、環境改善指示等を行う医師のことです。 労働安全衛生法第13条では、「常時50人以上」の労働者を使用する会社では1名以上の産業医を配置することが義務付けられています。

この「常時50人」とは、労働時間の長短で定められるものではありません。 つまりアルバイトやパートタイマーでも、継続雇用している勤務者が50名以上いる場合には「産業医配置義務有り」ということになります。

なお労働者数が50人未満である会社(事業場)の場合、産業医を選任する義務は定められていません。 ただし医師に勤務者の健康管理を行わせる努力義務はあるとされています

ちなみに選任すべき事由(労働者数の規定超過等)があった場合、産業医は14日以内に選任し、規定に則って労働基準監督署に報告を行う必要があります。 労働者数が50人を超過する見込みがある場合には、早期的に産業医の選定を早めに行っておくべきと言えるでしょう。

2. 産業医の役割と仕事

産業医の役割は、大まかに言えば「労働衛生管理の指導監督」です。 主に企業内で以下の様な仕事を行います。

1 )健康障害や労働災害を防止するためのアドバイス・指導(情報提供やセミナーの開催等)
2 )労働者の疾病・障害に対し面接指導し、疾病性の評価判断
3 )作業環境の指導・助言
4 )労働者の健康促進のための活動(病気予防、職務起因による疾患の予防)
5 )健康障害・疾患が発生した場合の原因調査、再発防止対策への指導
6 )職場環境の定期的な巡視

誤解を受けていることが多いのですが、産業医は企業内で医療行為(治療)を原則として行いません。 診断・治療を行うのではなく、労働者の状態を面接を通じて判断し、企業側には意見書を出し、労働者に指導を行うのが産業医の役割なのです。 治療行為が必要な場合には、その判断に応じて医療機関の紹介を行います。

3.ストレスチェック制度での産業医の役割

2015年12月から導入された年に一度のストレスチェック制度では、以下のいずれかの有資格者による問診の実施が必要になります。

・医師
・保健師
・ストレスチェック研修を受けた看護師/精神保健福祉士

また問診票によるチェックによって労働者に高いストレス状態が確認された場合には、専門医師による指導面談を行っていくことも必要です。

上記のストレスチェックの実施、その後の指導面談は、ともに産業医が担当することが可能な業務となります。 企業の業務内容や勤務状態等を知り得た産業医がストレスチェック・指導面談を行うことにより、より適切な助言指導が行われることが期待でき、企業内でスムーズなストレスチェックが行えることから、産業医の注目度は更に高まることになりました。

4. メンタルヘルスケアに強い産業医の必要性

昭和の時代の産業医とは、主に労働者の身体面の健康管理を担当する医師という役割でした。 しかし現在では上記でご紹介したストレスチェック制度の他、以下の様な面で産業医のメンタルヘルスケアにおける重要性が問われるようになっています。

・労働者のうつ病等の精神障害(精神疾患)による休職・復職における面談
・労働者のメンタル不調時における早期的な対処の必要性の判断
・産業医による適切な専門機関・カウンセラーの紹介
・ラインケア等の企業内メンタルケアヘルス対策における助言指導等

うつ病等や適応障害といった心の病気を発症する人が110万人台を突破した現在、企業側にはメンタルヘルスケアに対してより専門的な知識を有することが求められる時代となったと言えるでしょう。 メンタルヘルスケアに強い産業医を選定し配置することが、今後の企業の人材流出の防止や生産性の向上にも繋がってゆくことになるのです。

おわりに

産業医についての基礎知識はいかがでしたか? 労働安全衛生法第13条によって規定された労働者数50名を超えている企業が産業医を選任しない場合、第120条にしたがって50万以下の罰金等といった罰則も定められています。 産業医の選任が行われていない場合には、「そのうち」ではなくすみやかな専属産業医の選任・雇用を行うようにしましょう。

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