更新日 2024年09月03日 | カテゴリ: 職場のメンタルヘルス
会社内でのパワハラによる労災申請の増加が問題となっている昨今。 公的機関への相談件数も右肩上がりで増えており、2012年の段階での職場パワハラについての相談件数は23万件以上、相談内容の中でもトップに上がっています。
パワハラ(パワーハラスメント)によってうつ病等の精神障害(精神疾病)を発症し、パワハラ休職・退職に追い込まれるケースも少なくありません。
企業側にとっては貴重な人材の流出や生産性の低下といった問題も発生させることから、早期的なパワハラ対処が求められている状態です。 ここでは企業側が行うべきパワハラへの対処について、わかりやすく解説をしていきます。
パワハラという言葉の認知度に比較すると、その内容を正確に把握している人は少ないのが現状です。 まずは「何がパワハラに当たるのか」という点を社員全体に周知し、共通認識を高めていくことが必要になります。
・身体的暴力:小突く、脚で蹴る、頭をはたく、腕を掴むなど
・物理的暴力の示唆:机を叩く、物を投げる、胸ぐらを掴む、罵声を浴びせるなど
・時間外労働(残業)の強制:就業間際に仕事を押し付けるなど
・部門外職務の強要:倉庫整理等、部門外・課外・契約外の仕事の強制をする
・仕事の取り上げ:特に業務の無い部署への配置、掃除等ばかりをやらせるなど
・プライベートへの過剰干渉:家庭環境や恋人の有無を執拗に尋ねる、学歴をバカにするなど ・本人への過剰な揶揄:身体的特徴の揶揄(身長や体重、見た目をあげつらう)など ・見せしめ的な叱責:朝礼での過大な叱責、集団での叱責を行うなど ・コミュニケーション拒否:無視をするなど
「パワハラ」というと物理的暴力や罵声といったイメージを抱く人が多いですが、実際には上記のような言葉によるパワハラ、仕事取り上げ・無視といった対応もパワハラの範疇に入ります。 パワハラについての周知徹底を行う他、従業員満足度調査や匿名アンケート等を定期的に行い、上記のようなパワハラが横行していないかを確認していくことが大切です。
先輩・年長者等からのパワハラの場合、監督管理者(上司等)がその相談を受けて職場改善に取り組むこと(ラインケア)もできます。 しかしパワハラ加害者が直接の上司であったり、上司がパワハラに対しての認識が不足している場合、被害側は企業内で相談できる場所がなくなってしまうのです。
この問題を解決するために、事業場内でパワハラ相談窓口を設置する企業が増えています。 企業内でこれから窓口設置を行う場合には、以下の点に気をつけましょう。
・相談担当者はパワハラ研修履修済みである等、相談スキルがある人を選定する
・プライバシーの保護と守秘義務の徹底を確約し、「相談=社内での不利益」というイメージを払拭する
・必要に応じて産業医との提携を行い、指導を受ける
ただし企業内パワハラ相談窓口での対応については、「社員同士での相談」に抵抗を感じる人も少なくありません。 設置以降の体制がうまくいかない場合や、人員等の問題から社内窓口の設置が難しい場合には、産業医や産業カウンセラー等の外部機関と提携して外部パワハラ相談窓口を設置するのも手です。
パワハラ対策として一定の効果を上げているのが、管理監督者(部長・課長・チームリーダー等)へのパワハラ防止研修(パワハラ研修)です。
いくらパワハラについての情報を提供しても、以下のような考え方を持っている人はその内容に心から納得をすることができず、結果的により陰湿なパワハラに繋がってしまうことがあります。
・体罰は当然であると考える人
・かつて自分もパワハラを受けており、パワハラは仕方がないと考える人
・厳しく育てることが育成に良いと考える人
「なぜパワハラが良くないのか?」「なぜ自分はパワハラをしたくなってしまうのか?」という点に焦点をあて、根本的な部分から解決をしていくことが重要なのです。
社員先導によるパワハラ研修を行う企業もありますが、指導側の社員の知識が不足していると単なる情報提供にとどまってしまい、問題の解決に繋がらないこともあります。 また弁護士等による法律知識の提供のみの場合も同じです。 パワハラ加害者予備軍となる人のメンタル面にも着目した外部によるパワハラ研修の導入を行うのが理想的と言えます。
パワハラ等のハラスメント問題は、早期的に対処をすることが大切です。 そのためには社員がパワハラに遭った時にすぐに問題を相談でき、企業側が問題を看過せず、適切な対処を行うことが重要になります。 重大なパワハラ問題が起こってから泥縄式に対応をすることが無いよう、外部専門家の手を借りながら早めの準備を行っておきましょう。
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えらべる:2つのカウンセリング方法「話すカウンセリング」「書くカウンセリング」
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