ノイローゼとは—症状から克服法まで

更新日 2023年05月18日 | カテゴリ: 職場のメンタルヘルス

「ノイローゼ」という言葉は、現代の日本でもよく使われる言葉です。 「仕事でノイローゼ」「育児ノイローゼ」なんて言葉を聞いたことがある、言ったことがある…という人も多いのではないでしょうか。 また「部下がノイローゼかも」と悩んでいる管理者の方もいるかもしれませんね。

ところが「ノイローゼ」について、正しい知識を持っている人は殆ど居ないのが現状です。 ここではノイローゼとは何なのか?どういう対処をするべきなのかといった基礎知識を解説していきます。

1. ノイローゼとは何?

ノイローゼ(独語:Neurose)とは、旧来の精神医学では「神経症」を指す言葉でした。 妄想や幻覚といった症状を示す精神病ではない、心因性の病気をまとめて「ノイローゼ」と言っていたわけですね。

ただし、この括り方は多種多様な症状に対しあまりにも広すぎる定義であるとして、現代医学ではこの用語は用いられていません。 ところが現在の日本では、いまだ「ノイローゼ」という言葉が独り歩きをしている状態です。

ノイローゼについてのよくある誤解

・落ち込んだ気分がノイローゼである
・統合失調症のような重度の精神病である
・幻覚や妄想が止まらない病気である
・悩みこんでいる状態=ノイローゼである

一般にはうつ病のような症状や統合失調症等の精神病をまとめて「ノイローゼ」と呼んだり、思い悩む気分を「育児ノイローゼ」と呼称しますが、これらは全て俗称であり、心理学・医学的には大きな誤解と言わざるをえません。

2. ノイローゼの症状とは?

では、ノイローゼの症状とはどんなものなのでしょうか。 以前の「ノイローゼ=神経症」という括りで見ると、現在では以下のような心因性症状が当てはまると考えられます。

神経症の一例

強迫性障害

施錠・手洗い等、ひとつの行為を反復してしまう精神疾患です。意味がないとわかっていても確認や行為を繰り返し、日常生活に支障が出ることになっていきます。

パニック障害

唐突な動悸や発汗、脈拍の急上昇や眩暈を感じます。身体には異常が見当たらないのが特徴です。

広場恐怖症

パニック障害の一種です。電車や自動車等の公共機関、エレベーター等の主に閉鎖的空間等でパニック発作を起こします。特定の場所に行けない、公共機関に乗れなくなるといった弊害が生じます。

解離性障害

「自分が自分である」という感覚(自己認識)が失われます。一時的な記憶の欠落、現実感の無さといったものが主な症状です。

不安神経症(全般性不安障害)

明確な理由が無いのに不安が治まらず、強い不安によって眩暈や動悸等の身体症状、集中力の低下、イライラといった精神的症状が現れます。

これらはほんの一例です。 ひとくちにノイローゼ(神経症)と言っても、その症状には様々なものがあることがわかりますね。

ノイローゼというと「落ち込んでいて暗い状態が続く」と思われる人が多いものです。しかし例えばパニック障害の場合、通常時にはごく平常通りであると本人も認識しているののに、電車の中で突然に心拍数が上がってしまう…といったケースが少なくありません。

まず動悸や眩暈といった身体症状を認識して内科等を受診し、原因不明とされてしまうことも多いのです。

3. ノイローゼは仕事が原因?

例えば統合失調症、躁うつ病(双極性障害)といった精神疾患の場合、原因が明確とならないケースは少なくありません。 しかしノイローゼ(神経症)にあたる疾患の場合、その原因にはストレスが関係していることが多いと考えられています。

例えば環境の大きな変化によるストレス、重責が増えたことによるストレスが引き金となることもあるのです。 ですから職務内容の変化、仕事量の増加、時間外労働・休日出勤の多さといった仕事のストレスによるノイローゼ発症という可能性も考えられるでしょう。

とは言え、ノイローゼの原因は個人によって異なるものであり、自己判断・他者判断で断定できるものでありません。 いわゆる「素人判断」で原因を決めつけた対応をすることが、本来の意味での寛解(症状の軽減)から遠ざけていることもあります。

4. ノイローゼは克服できる?

「精神病のような重度の病気ではないから」
「症状が起こるのは稀だから」
「ちょっと疲れているだけで、連休に休めば治るはず」

ノイローゼ(神経症)の特に初期症状においては、多くの人がこのように考え、対応を放置してしまっています。

また「ノイローゼは気のせいだ・甘えだ」といった周囲の不理解によって、自分での克服を考えてしまう人も少なくありません。 しかしながらノイローゼ(神経症・不安障害)とは、自分の努力や自己判断による2、3日の休養だけで克服できるものでは無いのです。

ノイローゼ症状が重くなって仕事に行けない等の社会生活に支障を来すようになったり、ノイローゼによる生活支障からうつ病を発症するケースも散見しています。

また、ノイローゼだからと安易に休職や退職を選び、その後の社会生活に問題が生じてしまう事例も多いようです。

不安障害・パニック障害といった神経症(ノイローゼ)は、精神科医・カウンセラーといった専門家の指導の元、治していくことができる病気です。

例えば広場恐怖症の場合、薬物治療でパニック発作を抑えながら、カウンセラーとの行動認知療法で不安を抑える方法を教わっていきます。 入院の必要がなく、定期的な通院で症状が寛解に向かう人の方が多いのです。

「どうも具合が悪いな」「おかしいな」と感じたら、早めに専門医を受診することが大切です。

おわりに

「ノイローゼ」という言葉には非常に誤解が多い故に、適切なメンタルヘルス対応を考えていく上では使用を避けたい言葉です。

特に「ノイローゼは甘えだ、気のせいだ」という誤った認識ゆえに症状を放置させて、結果としてうつ病も併発させて重症となるケースは多く、これが「ノイローゼで退職」といった問題を増やしています。

眩暈や頭痛、原因不明の不安といった心身の不調を感じたら、企業の場合には産業医や産業カウンセラーにまず相談をしましょう。

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