更新日 2024年09月03日 | カテゴリ: 職場のメンタルヘルス
2006年の労働安全衛生法の改正以降、事業者側(企業側)には社員の健康管理のための様々な義務が課せられるようになりました。 しかしながら現在においても法制上の義務を知らず、後に大きな法的トラブルとなるケースが跡を絶ちません。
職場の健康管理を考える上で、企業側は何をしなくてはならないのでしょうか? ここでは企業側が取り組む健康管理対策について解説していきます。
改正労働安全衛生法・第66条の中では、事業者側に以下の2点の義務が課せられています。
・健康診断項目に『異常の所見あり』とされた労働者について、健康保持のための必要措置について医師の意見を聴かなくてはならない。
・医師の意見を聞き、必要がある場合には適切な処置を講じなくてはならない。
ちょっとこれだけだと難しいですね。 同法の他の項目も含めてカンタンに説明すると、以下のようになります。
1 )企業は産業医を置いて、巡視・定期面接で社員の状態をチェックさせる。
2 )心身異常が見られる社員が居たら、産業医の意見を必ず仰ぐ。
3 )該当の社員について、配置転換、作業内容変更、残業短縮といった対策を産業医の指導のもと、行う。
さらに噛み砕いて言うと「企業側が社員の健康状態を知らないのは、法律違反」ということになります。
「具合が悪いことを知らなかった」「そんなに悪いと思わなかった」「管理者側が自己判断をしていた」では、法律的に許されない時代となっているのです。 会社社員の健康管理を適切に行い、対策を取ることが重要となります。
社員の健康管理をしっかりと行う上では、社員の健康問題が発生してから対処をする後手の対応では十分とは言えません。 健康管理目標を立て、社員の健康被害を未然に防ぐ対策も必要になります。
現在では、以下のような健康管理目標を定め、健康対策を行っている企業が多いです。
1 )肥満率の軽減
2 )喫煙率の低下
3 )メンタルヘルス管理の充実
肥満率問題は、生活習慣病と直結する問題ですね。 食生活についてのセミナー、運動教室の開催等を行う企業も多いです。 また喫煙率については心筋梗塞等との関連性がある問題であり、禁煙講座や外部と連携した禁煙外来への受診を推進している企業もあります。
そして現在、最も注目を浴びているのが「メンタルヘルス管理」です。
法改正以降、社員の健康管理については「心身の健康」としっかりと定義され、身体の健康管理だけでなく精神(こころ)の健康管理も企業の義務とされました。 社員一人ひとりが社会人としてイキイキと働ける環境・労働体制を構築することが必要とされます。
では、職場の健康管理について具体的にどのような対策を取っていけば良いのでしょうか。 優先順位は企業によって異なるものの、主として以下のような対策がまず必要であると考えられます。
メンタルヘルスに強い産業医や産業カウンセラーを置き、定期巡回をきちんと行います。 企業内部に産業医を置けない場合には、外部機関と提携を行いましょう。 心的ストレス・うつ病・不安障害といった心の病気についての専門知識の深い医師を選ぶことが大切です。
過剰な時間外労働・休日出勤等による身体的・精神的ストレスはうつ病や不安障害といった精神疾患と直結しやすいものです。 産業医等の産業保健スタッフと協議を行いながら、適切な労働時間について見直しを行いましょう。 また社員一人ひとりの適切な仕事量を考えることも健康管理に繋がります。
うつ病や不安障害といった病気は、初期には眩暈や頭痛といった身体症状から始まるケースが少なくありません。 しかし一般的にはこのような知識は知られておらず、結果として「重症になってから問題となる」という事例が散見されています。 学習講座やセミナーを開催し、社員一人一人におけるメンタルヘルスへの認識度を高めておくことが大切です。 また定期的なセルフチェックを行う体制を作っておきましょう。
こころの問題に適切に対処するには、社員に早い段階で専門医・専門カウンセラーへの相談を行ってもらうことが大切です。 最近では気軽に専門家に相談ができるよう、直接面談という形だけでなく、電話・メールといった形で専門家のカウンセリングが受けられるシステムを導入している企業も増えています。
社員の健康管理についての基礎知識はいかがでしたか? 事業規模によっては、定期券更新以外で職場の健康管理を本格的に行うのが初めてというところも珍しくないのが現状です。 また総務担当・人事担当の方が手探りで健康管理対策を行っているが、なかなか進まない…というところも少なくありません。 適切かつすみやかな対策を行う上で、専門機関との提携を視野に入れるのも手ではないでしょうか。
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えらべる:2つのカウンセリング方法「話すカウンセリング」「書くカウンセリング」
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