更新日 2024年09月03日 | カテゴリ: 職場のメンタルヘルス
労働者の健康被害問題は近年右肩上がりの増加傾向を見せ、今や日本全体の抱える課題となっています。 特に問題視されているのが「過重労働」です。
2015年に労働局が設けた労働者向け相談ダイヤルに寄せられた過重労働についての相談件数は、たった1年で約500件。 また「労働条件相談ほっとライン」に寄せられた相談件数は8ヶ月で16,000件を越え、多くの人が過重労働問題に悩まされていることがわかりました。
この状況を受け、厚生労働省は2016年4月に過重労働撲滅特別対策班、通称「かとく」を発足。 官民一体となっての過重労働への取り組みが推進されるようになったのです。
しかし現状においても「過重労働」に対しての基礎的な認識が事業者側・労働者側いずれもに不足している点が指摘されています。 ここでは過重労働の基準や対策について、知っておきたい基本的な情報を解説していきましょう。
まず知っておきたいのが過重労働の基準です。 2006年に策定された「過重労働による健康障害防止のための総合対策」では、労働時間について以下のような目安が定められています。
1 )時間外労働・休日労働時間が月45時間を超過すると、健康被害のリスクが高まる
2 )時間外労働・休日労働時間が月100時間を超過すると健康障害のリスクは非常に高い状態である
3 )直近2ヶ月~6ヶ月の時間外労働・休日労働時間の平均が1ヶ月あたり80時間を超過すると、健康障害のリスクは非常に高い状態である
つまり残業・休日出勤が「45時間」を越えたら黄色信号。 「月100時間/半年平均80時間」を越えたら赤信号ということですね。
なお上記での「時間外労働」とは、月40時間の労働を超過した残業・休日出勤(休憩時間を除いた分)を指します。 おおよその目安として、毎日2~3時間の残業がある(月50~60時間残業)が注意状態であり、毎日4時間(月80時間以上)の残業があれば危険な状態であると言えるでしょう。
過重労働対策(過重労働による健康被害防止のための対策)としては、大きく分けて3つの対策が必要です。
事業主(企業側)は年1回の定期健康診断を実施することが義務となっています。 また社員が深夜業等の特定業務に就いている場合には、半年に一度の定期健康診断を実施しなくてはいけません。 定期健康診断で社員の心身に不調が見られる場合、事業者側は産業医の意見を仰ぎながら環境改善・労働量の削減等の措置を取る必要があります。
時間外労働月100時間(もしくは半年平均80時間)を超過したら、事業者側は産業医に健康管理の助言指導を求める必要があります。 産業医が必要と判断した場合には定期以外の臨時健康診断を行い、診断結果を参考にしながら環境改善・労働量の削減等の措置を取ります。
産業医等の保健スタッフの意見を取り入れながら、残業削減対策に取り組みます。 実際の過重労働対策の事例(残業削減への取り組み)としては、以下のようなものが挙げられます。
・管理者側(上司)の残業禁止(社員が帰れる雰囲気作り)
・ワーカホリック体質者の特定、面談の実施
・スケジュール公開制度の導入(ダラダラ残業を無くす)
・勤務評価の改定(作業効率面を重視した勤務評価へ)
過重労働による健康被害のうち、今後より問題視されることが予測されるのがうつ病等のメンタルヘルスの不調です。 過重労働のストレスや過重労働による睡眠時間の削減は、うつ病等のメンタルヘルス問題に大きな影響を及ぼします。
身体の不調だけでなく「こころの不調」にも目を配った対策を行うことが必要です。
例えばうつ病の場合、精神的な落ち込み等よりも早く身体的な初期症状が現れることもあります。 社員各自が自身の心の状態について早めに気づき、また普段の生活の中でも健康の維持を考えられるような基礎知識の徹底とセルフチェック体制を整えることが大切です。
社員を束ねる管理者側は、より詳しいメンタルヘルスへの対策と知識を持ち、部下に対し適切なラインケアを行っていく必要があります。 産業医等の保健指導スタッフの指示を受けながら研修を行う企業もありますが、外部セミナーの受講を選択する企業も増えています。
うつ病・適応障害・不安障害等のメンタルヘルス問題への専門知識がある産業医・産業カウンセラーと提携し、定期巡回・面談指導といった形で早期の心のケアを行います。
過重労働問題は過労死や労働災害と密接に関わる点であり、今後企業側にはより厳密な対策が求められるようになることが予測されています。 形だけの過重労働対策で終わることが無いよう、早めに抜本的対策に取り組むことが大切です。
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