あなたの浪費癖は病気かもしれない

買い物をするのがストレス発散、という人は一定数います。特に女性であれば、欲しかった服を買い、それを身に着けた自分を見ることで元気が出る、ということも多いでしょう。すっきりした気持ちになるために、時々好きなものを買いに行くのはとても良いことです。

しかし、中には病的なほど買い物にはまり込んでしまう人もいます。目についたものが何でも欲しくなってしまう、自分が何にいくら使ったのかわからない、借金をしてまで買い物をしてしまう。自分でもおかしいと思いながらもやめられないで苦しんでいる人がいます。

買い物だけではなく、キャバクラのキャストに入れ込んでしまったり、ギャンブルにお金をつぎ込みすぎてしまったりと、常軌を逸したお金の使い方をしてしまうこともあります。健全な生活を崩してまで浪費してしまうのはなぜなのでしょうか。どうしたらそのような生活から脱することが出来るのでしょうか。

浪費癖は不適応的な学習が原因

浪費癖のある人の多くは「買い物をするとすっきりする」と主張します。これは頭の中で「買い物」と「すっきり」という項目が強く結びついているということを指します。

ストレスを感じたとき人はいろいろなストレス解消法を試します。カラオケ、お酒、おしゃべり、スポーツなど一通り試した中で、たまたま買い物を試したときのすっきり感が印象に残ります。これで「買い物」と「すっきり」の最初の結びつきが出来ました。これを学習と言います。

その人は、次にストレスを感じたときに「買い物をしたときすっきりした」ということを思い出し、買い物に行きます。そしてやはりすっきり感を感じます。

人は同じ経験を繰り返すほど、頭の中の物事の結びつきを強くしていきますから、ストレスを感じて買い物をするたびに「買い物」と「すっきり」の結びつきが強固なものになっていきます。これを学習の強化といいます。

ついには「買い物以外ではすっきりできない」「買い物していないといらいらする」という状況になります。こうなってしまうと病的なものとして扱われ、買い物依存症として治療対象になってしまうのです。

浪費癖を治すには

依存症と診断されたら専門的な治療が必要になります。そうなる前に浪費癖を治すためには2つのことを実践しましょう。

1つは「買い物以外のもの」と「すっきり」の結びつきを作ることです。世の中にはいろいろなストレス解消法があります。買い物ほどお金をかけなくても、映画、料理、散歩など試せることはいくつもあります。

例えば料理をしたときに「ちょっとすっきりした」と思ったとしましょう。その時頭の中には「料理」と「すっきり」の結びつきが出来ました。買い物をしたときほど強いすっきり感はないと思いますが、その「ちょっとしたすっきり感」を忘れずに、ストレスを感じたときには何度でも料理をしましょう。

そうすると「料理」と「すっきり」の結びつきがどんどん強くなります。最初の「ちょっとしたすっきり感」が、立派な爽快感に育っていき、健全なストレス解消になります。

もう1つは、買い物状況をきちんと管理することです。浪費癖のある人は、自分のお金の使い方をわかっていません。ですから、その日に買ったものと金額を全部書き出しましょう。

レシートを眺めるのでは不十分です。「自分の手で管理する」という作業を通して、自分の状況を把握するのが目的だからです。自分にとって見やすい形で買い物状況を管理してみましょう。

これは「無駄遣いの額」というネガティブな現実を目の当たりにする、少々辛い作業です。しかしそれは「自分にかかっていたストレス量」の自覚でもあります。「私はこんなに辛かったんだ」と自覚することは、自分に向き合うきっかけになります。「買い物でストレスをごまかさず、本当はどうしたいのか」を考えて、堅実な生活を取り戻していきましょう。