自分の親を「毒親」と認めたくない心理とは?

更新日 2025年01月14日 | カテゴリ: 子育て・家族関係

「毒になる親(毒親)」という存在は、ここ数年で認知度を大きくあげています。 肉体的暴力・精神的暴力を振るう親、過保護でありながら自分の価値観を強く押し付け「良い子」を強制する親…様々な「毒親」のタイプが知られるようになったことで、「自分の親は毒親だったんだ」と気づくケースも少なくありません。

しかし、その反対に「生育環境に問題があった」「毒親である」と第三者からも判断されるにも関わらず、その親の元で育った子供達が成長をしてからも「自分の親は毒親ではない」と頑なに否定をするケースもあります。 毒親の居る機能不全で育った「アダルトチルドレン」--毒親の影響により、大人になってからも生きていく上での苦しさを多々抱えている彼ら/彼女らは、それでも「自分の親は良い親だったはずだ」と繰り返すことがあるのです。

なぜ自分の親を「毒親」と認めることができないのでしょうか? ここではその心理について探っていきましょう。

1.過去の自分を否定したくない

毒親の元で育ったアダルトチルドレンは、その多くが著しい自己評価の低さを見せています。 「自分が無価値なのではないか」「周囲に受け入れられないのではないか」「人から愛されないのではないか」…自分への自信のなさから、様々な不安を抱えているのです。

しかしながら、そのような自己評価の低さが強いほど、外面のプライドや世間体、一般常識で測れる幸福度(経済的な要素、学歴、収入、成績等)で不安を拭い去ろうとする傾向も見られます。


「欲しいものはなんでも買えて貰えたのだから幸福だった」

「良い学校に入れて貰えたのだから幸福だと思う」
様々な「良かった点」をなんとか探し出して、「過去の自分」を肯定しようとしているのです。

彼らにとって、「親が毒親だった」と認めることは「過去の自分が不幸だった、辛かった」と認めることに繋がります。 取り繕いながら信じてきた「自分」を否定することは、アダルトチルドレンにとって大きな苦痛ともなるのです。

2.「親の価値観」から逃れられない

毒親の元で育ったアダルトチルドレンは、「親の目線」で毒親を擁護しようとします。
「子育てが大変だったんだろうから仕方がない」

「若くして母親になったんだから仕方がない」
これらはいずれも「親の側から見た視点」ですよね。 「不満だった」「辛かった」「もっとこうしてほしかった」といった「子供の(自分の)視点」が、驚くほどに後回しにされているのです。

毒親は幼少期から子供達に「親の価値観」「親の偉大さ」を押し付けていきます。 繰り返してこのような態度を取られた子供たちは、徐々に「自分の考え」「自分の価値観」を失い、親の価値観をそのまま自分の価値観として受け入れてしまうのです。

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3.「良い子(良い人)」であり続けたい

自己評価の低いアダルトチルドレンは、その分「他者からの評価」を強く求めます。 その中には「優秀な人」「出来の良い人」といったものもありますが、大人になり20代・30代となってくると「親孝行な子供」という立場も生まれてくるものです。

「親を見捨てる」「家族を切り離す」というのは、世間体な評価から見るとマイナスイメージとして捉えられることも多いもの。 「自分の気持ちや心」よりも「親や世間・周囲から良い人・良い子という評価を得ていたい」という心の方が優先され、「家族を大事にしなくては」という思考に囚われやすくなってしまうのです。

4.「精神的な自立」ができない

毒親に育てられた子供は、「親から無条件に愛される」という信頼関係を築いたことがありません。 そのため常にどこかで親に対する愛の飢餓感・見捨てられる恐怖を抱いており、親に対して反発心を抱きつつも「親から必要とされたい/親に愛されたい」という欲求を抱いています。 経済的に自立をする、親元から離れる、結婚をするといったライフイベントを経てもなお、「親からの呪縛」を抱き続けている子供は非常に多いのです。

親からの精神的な自立は、自分と親を対等な関係とみなし、親について客観的な判断を下せるようになり初めて行われます。 しかし毒親から「親が絶対だ」という価値観を植え付けられた子供は「自分はいつまでも子供であり、親に与する存在である」という認識から逃れにくく、「親を必要としない」という選択を行うことが困難となる傾向を見せています。

おわりに

幼少期の家庭環境・生育環境がその人の「心」に与える影響は非常に大きなものです。 その影響について自覚できず、大人になっても毒親からの呪縛に捉えられたままになっているケースは珍しくありません。 友人や恋人、また新たな家族となったパートナーや子供からの指摘を受けても「自分の親が毒親だ」と認められない事例が散見されているのが現状です。

しかしカウンセラーや専門医の助けを借りて「毒親の呪縛」に気づき、新たな可能性を得る人も増えています。 「何か生き辛い、何かがおかしいのかもしれない」「自分でも辛さがよくわからない」と感じたら、自分の心に向き合うために専門家の手を借りるのも手ではないでしょうか。

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