更新日 2024年08月23日 | カテゴリ: うつ病・憂うつな気分
病院を受診した時やインターネットで調べた時に出会う「抑うつ」という言葉。しかし「うつ」や「うつ状態」など似たような言葉がたくさんあり、結局「抑うつ」とはどういう意味や症状を指すのかよく分からないということがあります。今回はややこしい「抑うつ」について分かりやすくご説明していきます。
抑うつは「よくうつ」と読み、「さまざまな原因から気分が落ち込み、活動する意欲が低下している症状」のことを意味します。「くしゃみが出る」「鼻水が止まらない」のように症状だけでは、何の病気かは分かりませんよね。風邪かもしれませんし、花粉症の可能性もあります。「抑うつ」も単に症状を示すだけで、病名ではありません。
病院で「抑うつ状態」という診断を受けることがあります。これは先ほど挙げた抑うつの症状である「気分の落ち込み」や「活動意欲の低下」などが見られる状態であることを意味します。
このような「抑うつ状態」は、大切な人や場所との別れや、受験の失敗など、人生のイベントの中で、症状に大小はありますが誰でも経験しうるものです。そのため「抑うつ状態」も病気かどうかは別として「抑うつの症状が見られる状態が見られる」という事実を示す表現に留まります。
「抑うつ」が症状の1つであることはお話ししました。その「抑うつ」の症状が強く、長い期間続くと「うつ病」や「抑うつ神経症(または神経症性うつ病)」といった病気となります。
「うつ病」ではストレスなどにより、脳内物質であるセロトニンの分泌が低下することで、抑うつの症状に加えて、睡眠や食欲の変化、頭痛や肩こりの悪化など身体にも症状が現れます。
一方の「抑うつ神経症」は今では「気分変調障害」と呼ばれています。抑うつに悩まされる点は同じですが、それ以外の症状が出ないため、その苦しみを客観的に理解することが難しく、本人の性格ややる気によるものと誤解されることがあります。
生活や環境に変化が起こると人はストレスを感じます。例えば、大切な人との別れ、遠方への引っ越し、家族の不和、離婚、受験や就職活動の失敗、リストラ、犯罪に巻き込まれる、といったネガティブなイベントは大きなストレスとなり、抑うつを引き起こす原因となります。
それと同時に結婚や昇進といった一見ポジティブな出来事も、環境が大きく変わり、緊張感が高まることからストレスとなる可能性があります。良い出来事のはずなのに抑うつに陥ることもあるのです。
からだの不調や病気も抑うつを引き起こすことがあります。風邪やインフルエンザなど身近な病気でも、からだに強い負担がかかると気分が滅入ってくることがあります。女性であれば生理前後に抑うつに悩まされる方も多く見られます。
また、糖尿病、睡眠時無呼吸症候群、癌、認知症、甲状腺機能低下症なども、からだの病気でありながら、抑うつを引き起こす原因となります。
心の病気であり精神疾患も抑うつを引き起こします。先ほどご紹介したうつ病や気分変調障害に加え、双極性障害、不安障害、適応障害、心的外傷後ストレス障害などにも抑うつの症状が見られます。
また、境界性パーソナリティー障害の方も気分の波が激しく、急激に抑うつ状態になることがあります。
アルコールや薬物も抑うつの原因となります。アルコールや薬物を乱用すること自体が抑うつを引き起こす要因になることに加え、これらから離脱しようとする時に強い抑うつに襲われてしまうリスクがあることが知られています。
抑うつの要因となるストレス自体を減らすのも大切ですが、自分だけではどうしても減らしたり避けたりすることのできないストレスもあります。
そういった場合は認知行動療法を使ってストレスに対処する力を身につけましょう。例えば、「マインドフルネス」という方法では、自分の身体に意識を向け、感じているストレスや疲れを丁寧に見つめることができるように練習していきます。
また「認知再構成法」ではストレスを感じる出来事の受け取り方を変えることで、ストレスを和らげる取り組みを行います。
身体の病気や精神疾患、アルコールや薬物への依存は病院などの専門機関を受診し、適切な治療を受けることが何よりも大切です。
適切な治療を受けることで、抑うつ症状も改善していきます。また治療を受けて良くなる見通しが立つことで安心感が得られます。この安心感も抑うつを和らげる効果が期待できます。
家族や友人、恋人が抑うつ状態に陥った場合には、生活環境を整えてあげることを大切にしましょう。
抑うつ状態では、料理や買い物が面倒になって食事を摂らなかったり、掃除や洗濯が手につかず汚れたものがたまったりといった状態になります。
こういった生活環境を整え、ゆっくり休ませてあげることが抑うつに悩むご本人の助けになります。
抑うつ状態になると、病院に行くだけの意欲が持てなかったり、落ち込んだ気分で頭がいっぱいで適切な判断ができなかったりすることがあります。
このような時に、周りから「しんどそうに見えて心配だから、病院に行ってみようよ」など、客観的な視点から伝えることで、治療につなげることができます。
また、抑うつの症状から「どうせ治らない」などネガティブな思い込みが起こることもありますが、「お医者さんは薬の効き目が出るまで数週間かかると言っていたよ」「前より表情が明るくなっているよ」など冷静に伝えることで視野を広げることができます。
抑うつ状態はすぐに治るものではありません。治療に数ヶ月や数年かかることもあります。
抑うつ状態に悩むご本人を支えるために一生懸命になっていると、サポートしている方自身のケアがおろそかになり、身体や心に不調をきたすことになります。
抑うつに悩むご本人を支え続けるためにも、自分自身の人生も大切にしていきましょう。
抑うつの症状が強くなると、治療に長い時間がかかります。治療費や社会復帰の問題も出てきます。
できるだけ軽い抑うつ状態のうちに改善しておくことが大切です。気になることがあれば病院など専門機関に相談してみましょう。
また、オンラインカウンセリングなら抑うつでの悩みや抑うつを改善する方法などを手軽に相談できます。ぜひ活用してみてくださいね。
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