進学や就職と言った人生の大きな出発点となる時には、誰もが心新たな気持で春を迎えるものですよね。
また既に就職をされた人でも、異動や転職、そして引越など、環境が変わる機会は意外とあるものです。
ここで変化をするのは、自分の肩書や現住所と言ったものだけでなく「周囲の人間関係」となります。
自分を取り巻く人達がほぼ一新される機会…これは、自分の性格や行動を変えていく良いタイミングでもあるんですよ。
大きな環境変化が訪れる前には、あらかじめ「なりたい自分」を思い描いてみましょう。

1. 人のイメージは「第一印象」で決まる

私達人間は、周囲の人の「おおまかなイメージ」をほぼ第一印象で決めています。
「優しそう」「マジメそう」「なんだか怖そう」と言った具合ですね。
これらの「雰囲気（印象）」は、実は出会ってから最初の5～6秒で決まるとも言われているのです。

「それって結局顔の良し悪しでは？」と思う人もいるかもしれませんね。
しかしそうとは限りません。
人間は「顔だち」だけでなく、以下のような様々な点からその人のイメージを総合的に判断しているのです。

・髪型、髪の色（清潔感があるか、個性的かなど）
・表情（柔和か、厳しいのかなど）
・体型
・姿勢
・声（声色、話し方）
・自分に対する視線の投げかけ方
・服装（清潔感はあるか、体型に合っているか）
・メイク　など

よく進学や就職を機に服装やメイク、髪型などを大きく変える人のことを「デビュー」などと呼んで揶揄することがありますが、新たな人間関係を築く際にあらかじめ自分の容姿を変えておくというのは、心理学的に見ても有効です。
なりたい自分、理想とする自分に近づいた服装や姿勢を心がけておけば、初めて出会う人への第一印象を大きく変えることができます。

2. 最初のイメージはその後にも影響する

人間は或る対象についてのイメージを一度決定すると、その後の対象の「能力」や「行動」の判断にも無意識のうちにそのイメージを判断基準に入れています。

例えば一度「優秀そうだ」と感じた人が失敗をしても、「たまにはミスをすることもあるだろう」と寛大な判断を与えるのです。
反対に第一印象で「能力が低そうだ」と感じた人が同じ失敗をした場合、「ほら見たことか」「やっぱり失敗した、能力が低いのだ」と実際よりも能力を低く判定してしまいます。
さらに、第一印象で「能力が低い」と判断された人がその後に好成績を出したとしても、「今回はやや頑張ったのだろう」という程度におさまり、なかなか「実は能力が高いのだ」という基準変更には至りません。

人間が第一印象に強く振り回されてしまうことを、心理学では「ラベリング」と呼んでいます。
何が入っているかわからない瓶に「これは●●が入っている」とラベルを貼るように、私達は誰かに対して「この人は●●だ」というラベルを貼り付けているのです。

つまり、第一印象で「良い人そう」という良い印象を植え付ければ、その後の行動なども好意的に受け止めてもらえるというわけなんですね。

3. 周囲の対応が本人の性格も変えていく

第一印象で良い印象を与えられた周囲の人達は、その人のことを「そのイメージを持った人」として扱います。
例えば「能力が高い」と感じられる人には「さすがだ、よくできる」という賞賛をすることもありますし、「素敵だな」と感じられた人には「きれいですね」などの褒め言葉が出ることもあるでしょう。

賞賛を受けた側はもちろんこれらの良い対応、賞賛の声などを聞けば悪い気がするはずはありません。
周囲からの承認を受けるたびに、「もっとそのような賞賛、承認が欲しい」と考えるようになるのです。
そして、そのような賞賛や認証を得たいと考え、より自分を「理想の姿」へと近づける行動を行うようになります。

この繰り返しが、徐々に本人の性格までも変えていくというわけです。
よく「女性は『キレイ』と褒められるたびにキレイになる」と言われますが、これは心理学的に見ても正しいところが多々あります。
「良い人／デキる人だ」と思われ、そのように扱われることは、その本人を「デキる人」へと変えていくものでもあるのです。

おわりに

引越や異動、転職と言った人生の転換期は、「性格を変えるチャンス」であるとも言えます。
これからどんな自分になりたいのか、今までの自分のどこを変えたいのか…そんなポイントをよく絞って明確にしておくほど、「今後、自分が求めるもの」がよくわかるはず。
「理想の自分」を見つけたら、是非そこへと向かう「変化への一歩」を開始してみましょう。