更新日 2024年09月03日 | カテゴリ: 人間関係を良くしたい
個人サイトやブログの時代からTwitterやFacebookなどのSNSの時代へと移ったインターネットの世界。
多くの人がネット上で様々な「知らない人達」と交流する機会が増えています。
もちろん、趣味などの人間関係が新たに作れるなど、ネットも悪い影響ばかりとは言えません。
しかし「ネット上での人間関係の方が魅力的だ」と感じ、現実世界での人間関係に問題が生じているケースも少なくないようです。
ここではネット上のみでの人間関係について、心理学的な特徴をまとめてみました。
人間同士が好意を持つ上で重要な要素となるのが「共通項(似通った場所)」です。
例えば出身地、好きな食べ物、好きな色、芸能人、趣味などが似ている人というのは、それだけで好感を持ちやすくなります。
学校や職場などの人間関係の中では、お互いに様々な会話をしてからでないと共通項を得ることができませんね。
しかしネットの場合、例えばSNSなどでは、そもそも最初の時点でプロフィールに自分の趣味等の情報を表明している人が多いですし、なんらかの共通項を持つ人のためのサイトや掲示板なども数多くあります。
そのため知り合った段階から大きな共通項があり、お互いに好意を持ちやすいのです。
現実社会の場合には何ヶ月もかかるような人間関係の距離の縮め方が、ネットの場合には初手で縮められている--この「気楽さ」が、「すぐに友達が作れる」と感じるひとつの理由となっています。
現実社会の友人等の場合、特に社会人ともなればなかなかお互いに遊ぶ機会などがありませんよね。
また学校・職場が一緒という場合や、さらには家族ですら、24時間一日中顔を合わせているということは殆ど無いはずです。
ところがネットの場合、SNSなどでは常に誰かと言葉を交わすことができます。
SNSでの発言回数が多い人などであれば、朝一番の挨拶から寝るまで、常にその人の発言を見ることになるわけです。
心理学ではこのような接触回数が多ければ多いほど、人は相手に好意を持ちやすいとしています。
これを「単純接触の効果」と呼びますが、顔を合わせる、体を近づけると言った物理的な接触ではなく「発言を読む」と言ったバーチャルなものも接触のひとつとなるのです。
そのため知り合ったばかりの人でも親しみが湧きやすく、「自分たちは親しい間柄だ」と感じます。
現実社会の人間関係においては、人は心の「深い部分」にある情報をなかなか開示することはありません。
例えば家庭の悩み、昔からのトラウマ…このようなものを打ち明けられるのは、よっぽど信頼をしている友人や恋人、家族といった人間関係に限られます。
反対にネットでの人間関係の場合、意外とこのような「深い悩み」はカンタンに打ち明けられがち。
そしてその分、お互いに「深く理解をし合った」と感じ、一気に信頼関係を得たと考えます。
しかし残念ながら、この点についてはやや「錯覚」も多いと言えるでしょう。
それは、そもそも深い悩みを打ち明けることができた理由がネット上の「匿名性」にあるからです。
顔や本名などを知らない相手であれば、悩みを知られたとしても今後人生の自分に影響をおよぼすことがない、しがらみが無い…と無意識に感じるからこそ、「深い部分」の情報を出しやすくなるのですね。
深い悩みを打ち明けた側は「ネット上だけの付き合いだ」とどこかで考えているのに、悩みを打ち明けられた側は「信頼をされているから相談されたのだ」と感じてしまう…このようなケースも少なくありません。
ネット上での人間関係の最も大きな特徴が「自分の悪い部分を隠しやすい」という点です。
人間には誰しも良い面・悪い面があるもの。
自覚している「見せたく無い欠点」について、現実社会では隠しきることは難しいものです。
しかしネット上であれば、人は或る意味では「理想の自分」になりきることもできます。
自分自身が意識をして「ネット上の人格」を作り上げている場合もありますが、多くの場合は無意識に「都合の悪い面を隠し、良い面だけを見せる」ということを行っているもの。
そしてそのような情報開示の取捨選択が無意識であればあるほど、「相手も『都合の良い面』だけを自分に見せている」ということに気づかないのです。
そのため、ネット上の相手のことを非常に美化して捉えたり、神格化してしまうこともあります。
このような或る種の「思い込み」の結果、「理想とは違う発言」等の小さなトラブルから一気に人間関係が破綻してしまうケースも多いのです。
ネットでの人間関係は、ごくカンタンにまとめてしまえば「熱しやすく冷めやすい関係」と言えるでしょう。
すぐに仲良くなれる分、小さなトラブルが起こった際などにはどちらかが関係性を一方的に断ってしまえば「それまで」ということになり、非常に脆い関係でもあります。
現実社会とは違う特徴が多い点を自覚すること、これがネットでの交流をする上で何よりも重要となるのではないでしょうか。
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