更新日 2024年08月21日 | カテゴリ: カウンセリング
臨床心理士の方、これから臨床心理士になるため指定大学院にいる方、これから臨床心理士を目指すために大学院を考えている方へ、国家資格「公認心理師」は必要かどうかについての論考です。以下、あくまで推測でしかありませんので、ご理解のほどよろしくお願いいたします。
これまで臨床心理士として働いてこられた方にとっては特に、「本当に公認心理師国家資格は必要なのか?」「また試験を受けなければいけないのはたいへん」と考えておられる方が多いのではないかと推測します。
そこで、公認心理師国家資格ができた際に、世の中はどのように変わるのかを考えてみました。
臨床心理士の職域は元々広く、教育領域、医療領域、福祉領域、司法領域、産業領域、私設相談領域など様々あります。
臨床心理士の働く領域・職種の中でも、最も多いのではないかと思われるのが医療機関での心理業務、小中高等学校でのスクールカウンセラーです。
まず医療機関での心理業務においては、他の医療従事者と違わず「保険診療の手引」に添って行われていますし、これからも行われるでしょう(自費診療のクリニックを除く)。これまで「保険診療の手引」には、臨床心理士という民間資格を記載できないことから、「臨床心理技術者」という形で書かれていました。ですが、医療領域で働く医療従事者は、基本的にすべて国家資格の持ち主です。医師、看護師、薬剤師をはじめ、臨床検査技師、放射線技師、作業療法士や理学療法士も国家資格です。その中に、これまで国家資格として入ることのできなかった臨床心理士が「公認心理師」として入ることができるため、ほぼ間違いなく「保険診療の手引」には「公認心理師」という文字の表記がなされるでしょう。その場合、公認心理師では保険点数が取れますが、臨床心理士のみでは保険点数が取れない状態になってしまいます。
そのため、医療領域では公認心理師国家資格は必須になると考えられます。
教育領域のスクールカウンセラーは、文部科学省がこれからさらに増やすことを考えていますし、都市部以外の地域において臨床心理士だけでも数が不足している現状がありますので、地方では臨床心理士だけでも働ける可能性があります。ただ、やはり都市部などでは「臨床心理士」か、「公認心理師+臨床心理士」か、同じ条件で人を選ぶとなると、公認心理師国家資格を持っている人の方が優遇しやすいのは、雇い入れる側からすると当然かもしれません。このことから、スクールカウンセラーでも、都市部で働く場合はある程度必須になるのではないかと予想されます。
その他、法務教官や家庭裁判所調査官などに関しては、元々心理学を専門とする者以外にも門戸を開いていますので、公認心理師は必ずしも必要ではないと考えています。
また、その他民間のEAPや学生相談室などでは、その機関機関によって考え方が異なるでしょうから、持っている方が優遇されるとも、されないとも考えられます。
以上のように、公認心理師国家資格については、臨床心理士にとって「必ずしも必須とは言えないが、医療領域で働く可能性がある方にとっては必須。その他の領域で働く場合も、必須でなくても公認心理師を持っていない方が大きく不利になる可能性がある」といえるのではないでしょうか。
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