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先の見えない治療とうつ病と向き合う苦難ー体験記と学んだこと【後編】

更新日 2016年06月24日 |
カテゴリ: うつ病・憂うつな気分
先の見えない治療とうつ病と向き合う苦難ー体験記と学んだこと【後編】 >>【前編を読む】うつ病発症から治療にたどりつくまでの苦難ー体験記と学んだこと

ーーどのような治療を行っていたのでしょうか?


投薬治療がメインでした。初期はルボックスという抗うつ剤とマイスリーという睡眠薬を服用していました。 しかし、私には効き目が弱かったようで、途中からルボックスからサインバルタという薬へ変更されました。 そこから、比較的気分の浮き沈みなどが弱まってきて、薬の効果を実感したことを覚えています。 基本的には、サインバルタの量を20mg、40mg、60mgの振れ幅の中で調整しつつ、投薬治療を継続していった感じですね。

ーー通院はどれくらいの頻度でしたか?


基本的には2週間に1度の通院でした。実家へ帰省する期間や、病院の年末年始休業などの時は、処方する薬を多めに貰う調整をする感じです。

ーー先生との関係性はどうでしたか?


つかず離れずといった感じでしたでしょうか。なんというか、診察時間が5分程度と短いので、近況を私から端的に話して、薬の調節をして、様子見ましょう。というのが常でしたね。私が明らかに元気ない顔していると、先生もどう接して良いのか分からないのか、あまり込み入った質問などはされませんでしたね。当時は、精神科医はカウンセリングを用いて、色々と話しながら治療していくものだと思っていたのですが、そうではなかった事にガッカリした覚えがありますね。 また、会社の産業医さんからの紹介と言うことである程度の信頼感があったこと、薬を服用していれば治るという思い込みがあったため、とりあえず「義務」として通院していました。

ーーその病院にはどれくらい通院されたのでしょうか?


2年半ほどでしょうか。薬によって多少症状は良くなってきたのですが、浮き沈みは相変わらずでした。それにも関わらず薬の調整しかしない治療に疑問を持ち始めたんですよね。そういう疑問を持てるほどには回復していたという事だったと思うのですが、その頃からセカンド・オピニオンの活用や投薬以外の治療法、転院などを本格的に検討し始めました。

ーーセカンド・オピニオンやカウンセリングは試されたのですか?


はい。当時の主治医や治療法に疑問を持ってから、不安と恐怖でなるべく早く試してみたかったので。
今思い出すととても異常な行動だったと思うのですが、不安と恐怖がピークに達したある日、とりあえず自宅最寄りの精神科や心療内科を自転車で片っ端から訪問したんですね。ある心療内科では、「あなたの症状は精神科の領域だから、別の病院がいいですよ」と言われたり、予約で一杯だったり、なかなか診察してくれる病院が見つからなくて、途方にくれていました。運良く1件見つかり、セカンド・オピニオンが目的だということ、今の状態や服用している薬の種類と量などを伝えました。結果、主治医の治療法は正しいと言われ、愕然としましたね、他の治療法の可能性を探っていたので。後々調べると、私が受けていた治療法や治療方針は精神科が行うスタンダードだということが分かったのですが、当時はそんなこと調べる余裕もなく、ただただしがみつく何かが欲しかったのだと思います。

ーーカウンセリングは受けられましたか?


受けました。いくつか病院を試してみて、今までとは違った投薬を提案してきたところに転院しました。その病院は定期的にカウンセラーも来ており、診察とカウンセリングを当日受けられる仕組みだったんですよ。カウンセリング料金も5000円くらいで相場よりも安かったため、そこで初めてカウンセリングを受けてみました。

ーーカウンセリングの効果はありましたか?


正直無かったと思います。カウンセラーは20代後半〜30代前半くらいの女性の方でした。最初のカウンセリングは、私がなぜカウンセリングを受けようと思ったのか、どういった悩みがあるのか、といったヒアリングが中心で40分間。一通りこれまでの事や自分のトラウマを話しました。

今まで込み入った話を誰かにすることはなかったので、とても清々しい気分になりましたね。だから、2回目も予約して初回は終了しました。

そして2回目です。私は前回話した内容からカウンセラーさんと一緒に解決策を模索していくものだと思っていたのですが、2回目も私が一方的に話す事を求められました。「具体的な解決策など話したりはしないのですか?」と質問すると、「それはあなたがしゃべりながら自分で見つけていくんですよ(笑顔)」と返答され、頭が混乱したことを覚えています。 また、3回目からは「違うカウンセラーさんにバトンタッチすることになりますね」と言われて、一気に不信感が募り、カウンセリングは中止することにしました。カウンセラーさんが何をしようとしていたのか、何を考えていたのか今でも不思議です。でも良い経験だったと思います。

ーー事態が好転したのはいつごろでしょうか?


知人の知り合いというか、取引先にカウンセリングルームを運営されている方がいらっしゃって、私の事を相談したら、一度会いましょうということになったんですよ。それで、一回カウンセリングさせてくれませんか?という提案を頂いたんです。カウンセリングによってうつ病を治した実績もあるようですし、治療理論もしっかりと自分で考えられていらっしゃったので、「この人だったら安心して任せられるかな」と感じました。これが、大きなキッカケでしたね。

初診時に、どのような方針でどういったカウンセリングを行っていくか、といった説明をされて本格的なカウンセリングによる治療が始まりました。初診時にこのような説明をされるカウンセリングルームは、私が調べた限りではなかったので、少々驚いたとともに、私の性分にあった進め方でとても好感を持ちました。

ーーどのようなカウンセリングを受けたのでしょうか?


ハッキリとカウンセリングの名称を聞かなかったので、あくまで推測ですが、認知行動療法にある「スキーマ」に対するアプローチに類似したカウンセリングと、セロトニン神経を活性化させる呼吸法を毎回毎回行いました。今の自分の考え方をカウンセラーの力を活用しながら客観視していき、思考の変容を促すようなトレーニングだったように思います。当時の精神状態だと、過去のあらゆることに対してネガティブな捉え方や視野狭窄的な見方をしていたことは今思うとハッキリとわかります。会社への怒りや不満、両親への憤りなどがどんどん噴出しましたが、うまい具合に修正することが出来たと思います。

また、呼吸法に関してはいわゆる丹田呼吸に似ている方法でしたね。自宅での実施も指示されましたし、通院するたびに呼吸法が上達しているのかチェックもされました。呼吸法は手軽ですし、実施後は気分もスッキリするので今でも継続しています。薬を使わずにセロトニンを増やすことが出来るのはとても良いと考えています。

ーーそれまで服用していた薬はどうしたのでしょうか?


カウンセリングを何回か続け、その後断薬を決断しました。徐々に減らしていったのですが、最小量から断薬への決断がとても勇気が必要でしたね。しかし、当時は投薬治療への不信感とカウンセラーへの信頼感、またカウンセリングの効果も出ていていたこともあって、思い切って断薬することができました。カウンセラーさん自身が医師免許を持っていたこともあり、比較的安心しながら減薬・断薬できましたね。

ーー断薬直後に発生する離脱症状は無かったのでしょうか?


ありました。とても辛かったです。主に、めまい、倦怠感、頭痛、吐き気、不眠、目がチカチカする、といったもので、半年くらいは毎日これらに苛まれてました。それから徐々に治まってきた感じですね。当時調べたのですが、サインバルタという薬自体、半減期が短く強い作用があるものでしたので、離脱症状はとても強く、多く発生したようです。また、個人差もあるようで、比較的私は出やすいタイプだったみたいです。本来なら、減薬期間をもうすこし長めにとったほうが良かったのかなと思うのですが、あの時決断しないとずるずると薬を飲み続けてしまいそうだったもので、私は断薬することにしました。

ーー離脱症状が緩和してからの変化はありましたか?


とても心身が軽くなりました。全身に抱えていた重さがスッと抜けた感じで、とても楽な気分でした。また、服薬時と同じくらいの心の状態を、薬がない状態でも再現できたことは、とても自信につながりましたね。「あ、薬なくても結構大丈夫なんだ」と思いました。また、投薬治療中は「いつになったら良くなるのか、一生このままなんじゃないだろうか」という不安と恐怖を毎日抱きながら生活していたのですが、一歩進めたという自信と心身の状態が今までよりも大きく好転したことから、目の前が開けたように感じました。とても重要なターニングポイントになったように思います。

ーー治療以外に自分で取り組んだことはありますか?


いくつかあります。自分自身の病気のことを知るために、うつ病に関する本や、セロトニンに関係する脳科学の本、瞑想の本、などの本を読み込みました。自分自身で客観的な知識を得ることで、主治医やカウンセラーの言うことを鵜呑みにすることなく、自分の頭で考えることを意識しました。また、生活リズムを整えるために体を疲れさせる運動を行いましたね。それまで運動はせず一日寝ているだけでしたので、最初はウォーキングすることからはじめました。それまでは不眠に悩まされていたのですが、ウォーキングを始めてからは減ってきましたね。また、ウォーキングによって気分も爽快になったりと、とても良い効果を得ることが出来ました。

ーー現在のうつ病や、うつ病治療に対して思うところは何かありますか?


いっぱいありますね(笑)特に不満や違和感を感じたところだけお話しますと、うつ病への誤解の多さ、医療機関の専門性の低さ、カウンセラーとの出会いにくさの3点でしょうか。

うつ病への誤解の多さについてですが、うつ病に罹った人を、まだまだ多くの人が「メンタルが弱いやつ」「甘えているやつ」「弱者」「メンヘラ」「使えない奴」といったネガティブなイメージを持っています。実際、私自身がそういう目を向けられ、態度をとられ、言葉を発せられた経験があることや、私同様にうつ病に苦しんでいる知人などの話を聞くと、だいぶ間違った理解がされているなと。うつ病に関する本やサイトをざっと見れば分かることなのですが、誰しもが罹患する可能性がある病気ですし、特に日本はうつ病が発症しやすい社会環境になっていることは事実です。厚生労働省のHPなどを見ればよくわかると思います。こういったイメージを持たれて接せられると、一気にうつ病と向き合う気力が削がれるんです。社会不適合者のレッテルを貼られるわけですから。結果、うつ病患者同士のコミュニティなどに入り、そこでお互いを慰め合い、一時的に癒される。しかし、それだと社会との接点がなくなり、距離も出来てしまうので、いつまでたっても相互理解に至りにくいですし、社会復帰もしずらくなってしまいます。本当なら、うつ病患者側からも適切な発信や理解を求めたいのですが、その気力が無いんです。この溝は、患者数の増加や、うつ病の啓蒙情報などが充実してきたこともあり浅くなってきている様に思いますし、私もこういったインタビューを受けることで、少しでも実態を理解してもらえたら、と考えています。

2点めの医療機関の専門性についてです。これは、医療制度とも関係しているので、一概には言えませんが、こちらがどんなに相談しても、基本的に処方薬の種類や量の調節がメインで、相談した内容に対するソリューションは持ってないんですよね。投薬治療しかできないんです。最近では、うつ病治療に「認知行動療法」が効果的、といったエビデンスが多く存在していますし、実際に寛解する確率も高い。本来ならば、精神科医が率先して提案や施術をするべきだと思います。しかし、それができる医師は殆ど存在しないでしょう。投薬治療のみならず、そういった心理療法などを包括的に提供できる病院があればな、と思います。

3点めのカウンセラーのスキルの低さについて。私が最初にカウンセリングを受けたカウンセラーさんの印象が強かったからかもしれませんが、「腕のあるカウンセラーってどこにいるの?」という気持ちがありました。カウンセラーを検索すると山のようにカウンセラーやらセラピストやらが出てくるのですが、腕のあるカウンセラーが誰なのかがわからず、途方にくれたことがありました。また、カウンセラーの資格も多々ありますし、中には比較的短期で習得できる資格もあるようで、「カウンセラー」という職種自体のベーススキルがあまり高くないんだろうな、と思っています。裾野は広く、人数はいるけど、腕のたつカウンセラーはごく一部、といった印象ですね。資格だけ持って、カウンセリング経験が殆ど無い人もカウンセラーと名乗れてしまうので、当事者としては混乱しますよね。その中から腕も立ち、相性が良く、信頼できるカウンセラーと出会うのは「運」の要素が強すぎるなと。その辺、業界として改善して欲しいなと思いますね。臨床数や得意分野、具体的なカウンセリング方針など、カウンセラーに対するレビューサイトがあったらとても助かりましたね。

ーー今までの振り返りと、これからについて聞かせてください


そうですね。うつ病が重症だった頃からすれば、考えられないくらい今は良い状態ですし、無理のない程度にアルバイトで社会に関わることも出来るようになり、心身の充実感、生活に対する満足感も感じられるようになってきました。まだ、うつ病の特徴である「日内変動」は多少ありますし、落ち込む日もあることは事実ですが、頻度や変動する振れ幅が小さくなってきた実感はあります。調子が良くなって来た頃に、もっと早く早く!と自分を鼓舞しすぎて自滅した事もあり、今では無理なくマイペースに、まずは自分の心身を優先した選択をするようにしています。分かりやすく言えば、やりたくないことや他人に評価されたいがための行動を無理に行わない、ということです。また、うつ病にならなければ気がつけなかったこと、考えなかったこと、改善できなかったことが非常に多く、そういった事と出会わせてくれたんだ、と考えるようになりました。私自身、とても進歩したと思っています。 これからは、私の経験を必要とする方に対して出来る限り発信していきたいと思いっています。SNSなどで友人知人からうつ病に対する相談も来ることが増えました。自身の体験を伝えることで何かのお役に立てれば、うつ病と向き合ってきた意味が増すのかなと思っています。

ーーうつ病で苦悩されている方へのメッセージはありますか?


うつ病は一進一退を繰り返し心身ともに消耗する病気ですし、特効薬が無いのが現状だと思います。同じ病気と言えど苦しみは十人十色で、私の体験と完全に重なる方は多くは無いと思います。しかし、まず言えることとして、重症化している時は、休息と投薬により心身を落ち着かせることが大切だということですね。辛いですが焦る気持ちをグッとこらえる。また、個人的な感想としてある程度症状が良くなってからは、主治医やカウンセラーに頼りすぎないように意識し、生活リズムを整えるための運動をしたり、自分に出来ることはないのか勉強したり、主体的にうつ病の治療と向き合っていく必要があると思います。私自身もそうだったのですが、主治医やカウンセラーに寄り掛かることはとても楽で、そのまま任せていれば良くなる、という考えがありました。しかし、うつ病を良くしていく決め手は自分の意志なんだと感じています。重症化している時には難しいですが、良くなってきた感覚を持ち始めたら、少しずつ自分なりに行動をしていくことはとても重要ではないでしょうか。

ーー長時間ありがとうございました。


こちらこそありがとうございました。

>>【前編を読む】うつ病発症から治療にたどりつくまでの苦難ー体験記と学んだこと

なんとなくモヤモヤしている方へ

「なんとなく辛い、なんとなく不安だなあ」と感じていませんか? また、「悩みを相談できる相手があまりいない…」と感じたことはありませんか?
心のモヤモヤは、知らず知らずのうちに、積み重なっていくもの。 そしてそれを、一人で抱え込んでいると、だんだん苦しくなってしまいます。
こちらでは、あなたが心のモヤモヤをどのくらい抱え込んでいるかを、知ることができます。

心のモヤモヤを知る

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