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うつに使えるポジティブ心理学「問題を解決する」から「良いところを伸ばす」へ | 精神科医 須賀 英道

更新日 2016年12月15日 |
カテゴリ: うつ病・憂うつな気分
うつに使えるポジティブ心理学「問題を解決する」から「良いところを伸ばす」へ | 精神科医 須賀 英道

誰もが、日常生活の中でうまく対処できない状況を経験します。こうした状況では、立ちはだかる多くの課題や問題を解決することをいつも考えるはずです。問題を解決し、前進していくことが最善の対策だからです。しかし、この対処法で100%状況が進展するとは限りません。なぜなら、解決法が見つからない場合や、自分にまだその解決能力が十分備わっていない場合もあるからです。

そんな時に生じるのがうまくいかない状況に自分がいることへの気分の落ち込みです。どうして気分が落ち込んだのか自分ではわかっていても、気分が落ちるとどうしてもやる気も落ちていきます。そして、取り組まないと何ら結果は出ないため、できていない自分への否定感情が生じ、さらに気分が落ち込んでいきます。これこそが、うつ状態にはまっていくスパイラルです。

こんな時、どうしたらいいのか?

まず、自分にとってすべての問題解決は不可能であるといった、割り切りでの見切り発車が必要です。現状へのあるがまま姿勢です。しかし、ネガティブな面をあるがままに受け入れることは、理論的に妥当性があっても実際は容易ではありません。そこで、発想の転換です。問題点を見つけ解決するといった従来の方向性(POS: positive orientated system)から、良い所を見つけ伸ばすといった方向性(WOS: wellness orientated system)への発想転換です。

1. WOSとはポジティブ心理学の基本的視点

同じ状況でも視点が異なると認識は大きく異なります。例えば、大好きな飲み物がコップに1/4程入っている状況に対して、「あー、あと1/4しか残っていないのか」と捉えるか、「よし、まだ1/4は残っているぞ」と捉えるか、ここには客観的な評価よりむしろ主観的解釈のほうが大きいです。この主観的解釈にポジティブ指向性が関与しています。自己の置かれた状況に良い所を見つけるのがWOSです。

病気や問題、欠点を抱えた状況への自己あるいは他者の捉え方も同様です。図1-1を見てみましょう。右側の視点は、病気や問題、欠点を抱えた人に対して「問題な」人という全体評価です。これは、障害を持つ障害者、疾患を持つ病人、試験に落ちた落第者など、個人の持つ問題点の指標からその全体評価をする視点です。

ポジティブ心理学1−1

一方、左側の視点は、人が病気や問題、欠点を抱えていても他の側面に目を向け、特に強みや才能を見いだす方向性です。図1-2にあるように、右側の視点では、個人の特性として強みや才能を持っていても「問題」な人という全体評価をすると、強みや才能に気づきにくいです。特に、常にこうした視点で自己評価していると、病気や問題点、欠点の追求に終始し、「自分はだめな人間だ」といった自己否定に至ります。左側の視点に気づくと、自己の持つ強みや才能を磨くことが重視され、成長していくことにも気づくようになります。こうした過程の中で、抱えていた病気や問題点、欠点が自分の人生にとって相対的に過小となり、解決の優先順位も低くなっていきます。

ポジティブ心理学1−2

2. 木を見て森を見ずになるな!

医療者が、原因の究明と解決、早期発見、難治症例の克服を最大の目標にしてきたことは、誰も認めることです。しかし、常時こうした視点で物事を捉えていると、病気は見えても、「人」としての全体像が見えなくなってきます。全人的医療といった用語が生まれたのもこうした背景にあります。

病気といった要素を捉える視点(木を見る)は、人といった全体を捉える視点(森を見る)と相対的なものです。これはネガティブ指向とポジティブ指向でも同様です。ここには、バランスが重要であり、ポジティブ心理学からも1:3の黄金比が人生の成功に必要であることが実証されています。

一見すると、病気や問題・欠点にまみれた人(例:発達障害やうつ病・適応障害など)でも、彼らの抱えているのは病気や問題・欠点のみではないことが自然に見えてきます。強みや才能といった、病気や問題・欠点の陰に隠れて、他者や本人がまだ気づいていない特性も多くあります。こうした強みや才能に自らが気づき磨きをかけることから、成長が可能となります。

こうした自らの強みや才能に気づかせ、磨きをかける場が、まさに毎日の日常生活の時間と空間、対人関係です。人が自分の才能を伸ばし、強みに磨きをかけている時は、自分の問題点・欠点の修正に時間をかけていることに比して、明らかに楽しく、やりがいを感じます。これこそが一生懸命になれること(フロー)であり、生きる楽しさ(well-being)への目覚めです。生きる楽しさを実感できることから人生目標へのモチベーションが高められる(GOS: goal orientated system)のです。

それでは実際に、毎日の日常生活の中でどのようにwell-being を目覚めさせるか?まず、好奇心、元気さ、モチベーションを高め、毎日を楽しく過ごすことです。コミュニケーションの中で他者との協調性や絆を築くことです。そして、自己特性(強み等)をつかみ、チャレンジ精神を磨き、生きる夢を膨らませることです。

こうしたwell-beingを達成させるために、私はポジティブ心理学理論を基本に以下の実践プログラムを作成しました。ここには9つのトレーニングを盛り込みましたが、セリグマンやチクミントミハイ、ピーターソンなどによっていずれもwell-beingに有効であることが実証されたものです。

3. Well-being実践プログラム

 1 ) ポジティブ指向(WOS)の気づき
 2 ) 会話における笑顔の充足
 3 ) 自己の強みの気づきと向上(自己再発見)
 4 ) 一生懸命夢中になれる行動(フロー)の気づきと行動
 5 ) 感謝ワーク
 6 ) 他者への無欲な親切
 7 ) 目標と価値観の明確化(GOS)
 8 ) 自己評価と自己肯定(自分を好きになること)
 9 ) 人との絆からコミュニケーション(社会的ネットワーク)の拡大

このWell-being実践プログラムの詳細は、「幸せはあなたのまわりにある ポジティブ思考のための実践ガイドブック 」(金剛出版)に、誰もが毎日体験している日常生活の中で活用できるようにわかりやすく解説されています。

ぜひ、お読みいただきたいと思います。きっと目の前が一気に開けてくるでしょう。

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