うつ病などの医療費の自己負担が1割に!自立支援医療制度って何だろう?

更新日 2024年08月23日 | カテゴリ: うつ病・憂うつな気分

何らかの精神疾患などで通院を始めると、気になるのは医療費です。治療のために仕事を辞めたり、自宅で療養している方にとって、毎月の医療費は手痛い出費となってしまいます。 そんなときは、「自立支援医療」という制度を利用してみるといいでしょう。

1.自立支援医療とは?

簡単に言うと、精神疾患などの病気を治療するためにかかる通院費や薬代が安くなるというものです。 通常の社会保険や国民健康保険などでは医療費の自己負担は3割ですが、自立支援医療が適応されることで、これが1割になり、医療費がぐっと安くなるのです。

2.自立支援医療が適用される人は?

厚生労働省によると、何らかの精神疾患やてんかん、薬物などの依存症の治療のため、通院が必要である人が対象になります。具体的な病気としては、以下のものがあります。

・統合失調症
・うつ病や躁うつ病などの気分障害
・不安障害
・薬物などへの依存症
・知的障害
・強迫人格障害
・てんかん
・自閉症スペクトラム障害
・摂食障害
・パーソナリティ障害
 など

これらの病気に当てはまり、継続的な通院による治療が必要であると医師が認めた場合、加えてご自身やご家族が無収入であったり収入が低いという場合に、自立支援医療の申請をすることができます。

3.適用となる範囲

精神疾患や精神障害、それによって現れる症状を治癒するために、通院治療を行う場合の医療費に適用となります。 何だか難しく聞こえるかも知れませんが、具体的には、外来への通院・投薬、デイケア、訪問看護などです。病院やクリニックによっては、認知行動療法のセミナーなどにも適用となる場合があります。

ただし、入院での治療や、医療保険の対象になっていない治療(カウンセリングなど)に対しては適用されませんので、注意が必要です。 また、風邪など、精神疾患に関係のない病気にも適用されません。

4.自立支援医療を利用するメリット

自立支援医療では、精神的な不調に対する治療の自己負担額が1割になるだけでなく、1ヶ月あたりの負担額の上限が設けられます。上限額は、自立支援医療を利用しようとしている方の「世帯」を対象として、収入および住民税の納付金額によって決定します。

対象が「世帯」となりますので、一人暮らしの方は自分一人の収入・納税額によって、ご家族と同居されている方はご家族全員の収入・納税額によって限度額が決まります。

例えば、世帯全体で住民税が非課税になっており、ご自身の収入が80万円以下の場合は2,500円。世帯全体で住民税が非課税になっており、ご自身の収入が80万円以上の場合は5,000円という上限額になります。 この上限額以上は医療費がかからないので、毎月の通院費や薬代が家計の負担になっているという方には、ぜひ利用して欲しい制度です。

【参考】自立支援医療における利用者負担の基本的な枠組み(外部リンク:厚生労働省HP)

5.どうやって申請するの?

まずは、医師に相談することが第一です。医師によっては、経済状況などをヒアリングして自立支援医療の利用をすすめてくれる人もいますが、医師から話が出ない場合には、自分から申告するのもいいでしょう。

家計は非常にプライベートなことですから、相談するのに少し勇気がいるかも知れません。しかし、経済的な困窮や負担は、病気を悪化させてしまう可能性があります。恥ずかしがらずに、医師に相談してみることをおすすめします。

医師からも自立支援医療を利用した方がいいという意見が出たら、診断書を書いてもらいます。この診断書とあわせて、申請書を提出します。申請書は、病院やクリニックにある場合もありますが、ないときには市区町村の役所でもらうことができます。そして、現在使っている健康保険証が必要です。 場合によっては、世帯の納税状況と収入を証明する書類が必要になることがあります。

これらの書類を揃えたら、市区町村の役所に行って申請をします。申請をしてから、審査を経て、自立支援医療が利用できるかが決まります。審査には最長で1ヶ月半程度かかる場合もあります。

それまでの医療費はどうなるのかというと、病院やクリニック、薬局によっては、市区町村のハンコが押された申請書のコピー(申請の際にもらえます)を提出することによって、「申請した日(ハンコの日付)」から、医療費が1割負担になるというところもあります。また、審査を通過した場合、「申請した日」までさかのぼって、払い戻しをすることも可能です。

払い戻しや審査期間の医療費については、通っている病院・クリニックや薬局に聞いてみるようにしましょう。

6.自立支援医療の注意点

入院費やカウンセリングなどに適用されないことは前述しましたが、他にも注意点があります。それは、申請した病院・クリニックや薬局でしか、この制度は適用されないということです。

つまり、「必ずここに行く」という病院・クリニックと薬局を決めておく必要があるのです。病院や薬局を変える際には、その申請も必要になりますから、長く付き合える医師や薬局を見つけた上で申請するといいでしょう。

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