更新日 2024年08月20日 | カテゴリ: うつ病・憂うつな気分
「寛解(かんかい)」という言葉を聞いたことがありますか?
うつ病等のメンタルヘルス関連の病気では、投薬治療・行動認知療法等による療法、休養による症状の軽減等、状態に一段落が見られた時点で「寛解」という言葉が使われることがあります。
「寛解って、つまり病気が治ったってことでしょ?」と思う人も多いようです。 しかし身体的な病気で使われる「治癒(完治)」と「寛解」には、大きな隔たりがあります。 ここでは「治癒」と「寛解」の違いについて、わかりやすく解説していきましょう。
治癒とは、ごくカンタンに言えば「病気が完全に治った」ことを指す言葉です。 「疾患(病気)や外傷(体の外部の傷)に対する医学的治療が成功した」という意味になります。
一般的な言葉で言う「完治(かんち)」に近い意味合いと捉えて良いでしょう。 もう少し医学的に詳しく言うと、以下のような3つのパターンは「治癒」とされます。
例えば足を骨折して、骨がくっつき、歩けるようになった…という場合には「治癒」ですね。 またウィルス等を根絶し、再発することの無い状態も治癒(完治)に分類されます。
例えば虫歯になってしまった場合、「歯を元の状態に戻すこと」は不可能ですよね。 虫歯の部分を削って、かわりのものを詰めて(代償)、元の状態に近くしていくわけです。 歯は元に戻っていませんが、「噛んで食べる」という元々の状態に近いところまで持っていった状態ですので、「治癒」の一環であるとされます。同様に義眼や内臓切除等による治療成功も「治癒」に分類されます。
「がん」等の病気の場合には、5年以上の寛解状態ならびに検査結果の状態を合わせて「治癒」とされます。
寛解とは、「症状に落ち着きが見られ、(落ち着きに)一定の安定性がある状態」のことを指す言葉です。 治癒(完治)とは異なり、「このまま良くなる可能性もあるけれど、再発する可能性も否めない」という状態を意味します。
例えばうつ病の場合、「耳鳴り・めまい」といった身体的な症状、また「抑うつ状態・空虚感・自殺願望」といった精神的な症状が見られなくなり、日常生活が平常に行えるようになった状態を持って「寛解」とされることがほとんどとなっています。
またネフローゼ、白血病、喘息、がんといった再発性の高い病気の場合にも、症状の落ち着きをもって「寛解」という言葉が使われます。
いずれにしても病気の症状の一時的な軽減・消失であって、「治ったことを確約する言葉」ではありません。 再燃(再発)や増悪(ぞうあく・症状が重くなること)の可能性もあるため、その後も日常生活に注意を払い、疾病・症状によっては定期的な通院(検査)をする必要もあります。
うつ病等の気分障害において、「治癒(完治)」という言葉が使われることはほぼ無いと言って良いでしょう。 というのも、心の病気(うつ病、双極性障害等)といった疾病は再発率の非常に高い病気なのです。
うつ病を経験した人のうち、5年以内に再発をした人の率は50%以上となっています。 足を折って手術をし、リハビリも終えた(完治をした)という人の場合であれば、その後の普段の生活に気をつけることはほとんどありませんね。
問題は治療によって治ったわけですし、更に自然治癒力も加わっているわけですから、「病気になる前(外傷ができる前)と同じ生活」に戻って問題無いわけです。これなら医師も、患者に対して「完治をしました」と言えます。
ところがうつ病等の心の病気の場合には、寛解状態になったからと言って以前と同様の無理を重ねれば、また同じ症状を繰り返す(再発する)可能性が格段に高くなります。 再発をさせることのないよう、自分自身で意識をしながら生活していく必要が出てくるのです。
そのため、精神科医・心療内科医などが「治癒しました」「完治しました」といった言葉を使うことはありません。 また「寛解=完治である」と誤解されることが多いため、「寛解」という言葉を避け、「良好な状態」とする医師も多いです。
「寛解と言われたから大丈夫!」 メンタルヘルス系の病気になった人、またその周囲の人達の間では、時々このような「寛解=完治、治癒」と誤解をするケースが多く見られます。
寛解とはあくまでも「落ち着いた状態」であって、その後には再発しないような注意・意識をすることが重要です。 特にうつ病等で休職された方の場合、「病気で休んだ分を取り戻そう」と無理をした為に再発をするケースが少なくありません。 「再発をしないこと」を最重要視して、無理なく日々を過ごすよう努めましょう。
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