うつ病の特徴「日内変動」とは? 特徴と4つの対処法

更新日 2024年08月20日 | カテゴリ: うつ病・憂うつな気分

「うつ病はいつも心が暗く、落ち込んでいる病気」そう思っていませんか? うつ病の特徴のひとつとして「日内変動」というものが挙げられます。

うつ病にかかった人、特に初期段階や程度が軽い人の場合、症状が重い時には気分の落ち込みが酷いのに、軽い時にはまるで普段通り…ということもあるのです。 ここではうつ病の特徴の一つである「日内変動」について、またその対処法についてを解説していきます。

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日内変動の意味や朝に症状が強く出る原因

日内変動とは、1日の中で身体や心の調子が動く(病気の場合は、調子が良くなったり悪くなったりする)ことを意味します。 本来、この日内変動は、うつ病に限らず私達の誰にでもあるものです。 「朝にはなんとなくボンヤリしてしまう」という人も居れば、「夜にはとても活発で元気だから、自分は夜型」という人も居ますよね。

ところがうつ病の人の場合、この日内変動による身体症状・精神症状の上下が激しく起こりやすいのです。

うつ病を経験した人のうち、50%近い人が「朝に抑うつ症状(落ち込み、絶望感、憂鬱感等)が強い」と回答しています。 また頭痛や倦怠感、胃痛、目眩といったうつ病による身体症状についても、朝に強く出る人が多い傾向です。

「朝に症状が強く出る」という人の場合、これらの症状は昼を過ぎ、午後~夕方に近くなってくると徐々に軽くなっていきます。

「午前中には調子が悪かったけど、気のせいかも」
「朝にちっとも仕事ができなかったから、その分残業して頑張ろう」

このような無理を重ねることで、翌朝には更に症状が重くなり、繰り返すうちに「朝にまったく動けない」「目覚めた瞬間から気が重い」「早朝に覚醒してしまって寝付けない」といった様々な問題が生じるようになってくるのです。

非定型うつの場合は夜に症状が出やすい

前述のとおり、従来のうつ病の特徴では「症状が朝に強く出る」という人が多いという傾向を見せていました。 ところが近年では、「非定型うつ病(新型うつ病)」という新しいタイプのうつ病にかかる人が、特に若年層に多く見られています。

この非定型うつ病の場合、従来のうつ病とは逆で「夕方に気分の強い落ち込みがある」という回答をする人が多い傾向があるのです。

「会社が終わる頃になると気持ちが沈んでしまい、帰宅するのすら億劫になる」
「定時で上がれたらと予定を入れておいたのに、何をする気にもならない」
「ふとんに入っても気が滅入るばかりで寝付けない」

等など、夕方~夜間に抑うつ状態となり、反対に朝~午前中になると症状が軽くなるため、「朝起きたら大丈夫だったから、気のせいかもしれない」と考えてしまう人も少なくありません。

日内変動の改善方法

自分の日内変動のリズムを知ろう

まずは「気分が落ち込んだ時」「身体症状が重く出た時」等を記録して、自分の日内変動がどのように起こるのかを把握しましょう。 症状が辛い時には記録をするのが難しい時も多いですから、翌日等の症状が軽い時に「昼までは辛かった」「頭に霞がかかったようだった」等カンタンにメモをしておくだけでもOKです。 記録を続けていくことで、徐々に自分の心のバイオリズムが見えてきます。

日内変動が軽い時の無理は禁物

「朝が辛く、夜は軽い」等の症状のリズムが見えてきたら、「軽くなった時」の無理を控えるようにしましょう。 「もう辛くないのだから」と無理を重ねるほど、蓄積されたストレスが重くなったり、緊張による自律神経の失調が進み、症状が強く出るようになったり、抑うつ症状を感じる時間が長くなっていきます。

「今晩はラクだけど、明日のために無理はしないでおこう」と備える気持ちを持つことが大切です。 特に夜更かし、長時間残業等、体力・気力を消耗するような行動は控えてください。

周囲に自分の症状を説明をしておこう

特に朝に症状が強く出る人の場合、会社や学校、家族等から「夜には普通に見えるのだから、仮病なのでは」「気のせいなのでは」と誤解を受けてしまうことがあります。 また病気にかかった本人も「自分が甘えているだけかもしれない」と自責の念を持ってしまうことが多いようです。

しかし繰り返しになりますが、症状の日内変動はうつ病の特徴であり、本人の甘えや仮病といったものではありません。 「症状が朝(夜)に強く出る」「症状を悪化させないために、軽くなった時にも無理を控えている」といった説明を事前にしておき、理解をしてもらいましょう。

回復状態の自己判断をしない

「夜がまったく普通なのだから、もう病院に行かなくてもいいのでは」
「午後になれば仕事ができるのだから、薬を飲む必要は無いのでは」

症状が軽くなってラクさを感じると、このように自己判断で投薬をやめたり、通院をやめようとしてしまう人が少なくありません。 しかし、うつ病の症状の進行度・回復度では、「一日の中で最も症状が重い時」が重視されます。

「ラクになった時には動けるようになった」
「症状が軽くなった時には働ける」

このような判断で治療を勝手に中止したり、無理を重ねることは止めましょう。

おわりに

特にうつ病の初期段階では、多くの人が「夕方にはラクになったのだから、病気ではない」と判断してしまい、治療を受けるのが遅くなる傾向が見られています。 朝(もしくは夕方)に気分の落ち込み・漠然とした辛さ等を感じ、そのような状態が2週間以上続いているようであれば、日内変動の可能性があるので、早めに専門家に相談をしてみましょう。

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