更新日 2024年12月23日 | カテゴリ: 感情をコントロールしたい
「もしかしたら恋人が浮気しているかも」と疑ったことがある人は少なくないのではないでしょうか?
しかし、「もしかしたら」が証拠もないのに「絶対」に変わってしまうと「嫉妬妄想」という症状になります。
今回は嫉妬妄想の症状や原因、嫉妬妄想への対処法を臨床心理士が解説します。
嫉妬妄想では、配偶者や恋人が不貞行為をしているという強い確信にとらわれます。
配偶者や恋人、あるいは周囲の人が「そんなことはありえない」と伝えても、不貞を行っていない明確な証拠を揃えても、その嫉妬妄想を拭い去ることはできません。
嫉妬妄想を持つ方は、その妄想以外の社会生活はある程度維持されているのが一般的です。
しかし、あまりにも嫉妬妄想が強いと仕事や家事などに手がつかず、不貞行為の調査などに多くの時間やお金を費やして、生活にも支障をきたすことになります。
また、不貞行為を問い詰められ、行動を制限される恋人や配偶者も疲弊してしまいます。その結果、二人の関係が悪化し、ますます嫉妬妄想が確信めいたものになっていきます。
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嫉妬妄想では、強い嫉妬心によって不安やイライラが募るあまりに自分を傷つけたり、苦しさから逃れようと自殺に至ったりしてしまうことがあります。
また、嫉妬による怒りから、恋人や配偶者に暴言を吐いたり、暴力を振るったりする例も見られます。
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嫉妬妄想をはじめとする「妄想」は、妄想性障害が大きく影響しています。
妄想性障害では、実生活で起こりうる内容の妄想が1ヶ月以上持続します。妄想以外の精神症状(幻聴や幻覚など)はなく、ほとんどの場合では社会生活は問題なく維持されています。
嫉妬妄想が起こる原因としてパーソナリティ障害や、統合失調症も考えられます。
パーソナリティ障害では「他者の行動には悪意がある」という信念に基づき、対人場面では常に警戒して疑いながら関わっています。
そのため、恋人や配偶者のことも信じ切れず、「自分を裏切っているのではないか」という嫉妬妄想に囚われることがあります。
また、統合失調症は妄想性障害とは異なり、明らかに現実では起こりえないような妄想が特徴です。
例えば「アイドルのAさんと自分は婚約者なのに、女優のBが邪魔をしている」などと、突拍子もない妄想を抱くことがあります。
嫉妬妄想は認知症の高齢者にも起こる可能性があります。
認知症には「中核症状」と「周辺症状」があります。中核症状とは記憶や思考力の低下など、脳の機能低下が直接影響している症状です。
周辺症状とは心や行動に現れる症状のことを指します。これは将来への不安や当たり前に出来ていたことが出来なくなる焦りなど、認知症による身体の変化に心がついてこないことが原因で起こると考えられています。
大きな不安を抱えた認知症高齢者は配偶者を頼みの綱にしていますが、その一方で配偶者がいなくなることに強い不安を感じ、激しい嫉妬妄想を抱くことがあるのです。
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嫉妬妄想の症状は薬物治療が中心に行われます。
薬物治療では、妄想そのものを消し去ることは困難ですが、嫉妬妄想によって引き起こされる激しい興奮や不安などを和らげることができます。
また、認知症高齢者の嫉妬妄想では、認知症の薬や漢方を適切に服用することで症状が落ち着く場合があります。
ただし、嫉妬妄想を抑えようと強い薬を服用すると、意欲まで減退してしまうことがあります。医師と相談しつつ、投与する量を調整することが必要です。
嫉妬妄想を抱いているご本人は、その内容に確信を持っています。そのため、どれだけ否定しても妄想を消し去ることはできません。
しかし妄想を肯定してしまうと、さらに嫉妬妄想の確信を高めてしまう危険性があります。
嫉妬妄想には否定も肯定も行わず、嫉妬妄想にとらわれる背景にある不安な気持ちに寄り添いながら、楽しい話題や活動を一緒に行うことが大切です。
嫉妬妄想は「万が一、この人がいなくなったら生きていけない」という強い不安から生まれます。
だからこそ、配偶者や恋人以外の人間関係を充実させることで「他の人ともつながっている」という安心感を持つことができます。
また、ご本人が他の人と関わっている間、配偶者や恋人は気分転換することができます。
その結果、心にも身体にも余裕をもって、ご本人の嫉妬妄想にも根気強い関わりを続けることができます。
まずは病院を受診して、嫉妬妄想の原因を探りましょう。
同じ「嫉妬妄想」でも統合失調症と認知症では全く治療が異なります。きちんと専門医に診断してもらいましょう。
ただし、嫉妬妄想を抱いている人は「自分は何ともない!」と受診を拒否することがあります。
「健康診断」や「家族の付き添い」など、本人が受け入れやすい形で受診を促すことが必要です。
薬物治療と並行して、カウンセリングを受けることもおすすめです。
自分の不安を吐き出す場としても有効ですし、カウンセラーと話す中で自分の持つ嫉妬妄想のおかしさや思考の偏りに気づくことがあります。
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嫉妬妄想では本人だけでなく、嫉妬の対象となっている配偶者や恋人にも大きな負担がかかります。
「支えなければ」と理解していても、行動を見張られたり、責められたりするのは辛いものです。
友人や家族など身近な人の支援はもちろん、専門家からも助言やサポートを受けながら対応していきましょう。
どうしても辛い場合は、一時的に距離を置くことも大切です。
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苦しい気持ちを吐き出したり、嫉妬妄想に悩むご本人への対応を一緒に考えたりなどのサポートができます。
また、長時間外出すると嫉妬を受けてしまう場合でも、ご自宅から専門家に相談することが可能です。
メッセージでも相談できますので、相談しているところを見られたくない場合も、ぜひご利用ください。
嫉妬妄想は、確証がないにもかかわらずパートナーの不貞などを疑い、強い不安や執着に囚われる精神状態を指します。
妄想性障害や統合失調症、認知症などが背景にある場合が多く、トラウマやストレスも影響する可能性があります。
冷静な話し合いが難しい、感情の爆発、過剰な行動監視、自己や他者への危害などが挙げられます。
感情の記録、瞑想や深呼吸などのリラクゼーション、趣味への集中などが有効です。
カウンセリングや薬物療法を通じて、嫉妬妄想の根本的な原因を探り、適切な対応を行います。
家族向けセミナーや専門家のアドバイスを活用し、冷静かつ共感的な対応を心掛けましょう。
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