更新日 2024年08月25日 | カテゴリ: 専門家インタビュー
次にひきこもりについての話をしましょう。
厚生労働省により「ひきこもりとは、様々な要因の結果として、社会的参加(義務教育を含む就学、非常勤職を含む就労、家庭外での交遊など)を回避し、原則的には6か月以上にわたって概ね家庭に留まり続けている状態(他者と関わらない形での外出をしている場合も含む)」と定義されています。
2014年版の内閣府の「子ども若者白書」で報告されているひきこもりの数は、推定70万人とされています。また、ひきこもりの予備軍とされる人も含めると、その数は225万人にも上るとも言われています。最も多いのは30代で、全体の46%にあたり、7年以上にわたる長期のひきこもりが61%、また全体の7割が男性であるということもわかっています。
ひきこもりとは、不登校からの連続線上にあるものだと考えられることが一般的には多いですが、池上(2013)によりますと、不登校から引き続きひきこもりになるパターンというのは全体の12%ほどで、最近増えてきているケースはリストラや職場不適応がきっかけとなるひきこもりで、全体の半数近くはこのパターンであるといいます。また、きっかけは職場での不適応だったとしても、その背景に過保護や過干渉といった家族の機能不全があることも指摘されています(斎藤、2010 )。
ひきこもりの大半のケースでは、何らかの精神障害が存在していることも明らかになってきており、その障害のタイプによっても対応の仕方は変わってきます。統合失調症や気分障害等が見られる場合は、薬物療法が中心となり、広汎性発達障害や精神遅滞等が見られる場合は、生活・就労支援が中心に、またパーソナリティ障害や適応障害等が見られる場合は、心理療法的なアプローチが中心となります。正確な診断のもとで、適切な対応を受けるためにも、精神科医などへの早めの受診や相談が重要であり、また精神保健・医療・福祉・教育などの総合的支援が必要であることが国のガイドラインにも示されています(池上、2013)。
厚生労働省が作成した「ひきこもりの評価・支援のガイドライン」(斎藤、2010)では、ひきこもりには以下の3つの次元からの支援が重要であることが示されています。
このように、ひきこもりの背景には、精神障害、家族の機能不全、自立の問題があるため、医療、福祉、教育という地域の多岐にわたる専門機関が連携をとり支援に取り組む必要があります。
特に、家族の機能不全がひきこもりの長期化の原因となっていることも多いため、家族システムに対する支援は重要だとされています。また、相談の初期段階では当事者不在で家族のみが相談に来るというケースも少なくないことから、そういう意味での家族へのサポートも必要です。
ひきこもりの家族支援として、ガイドラインにも取り上げられているCRAFTプログラム(境・野中、2013)というものがあります。このプログラムでは、家族の機能不全の解消のために、ポジティブなコミュニケーションスキルの獲得が中心に据えられています。
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